▲写真=ハン・デウク記者

 韓国映画史上、大変貴重で珍しい女性キャラクターが誕生した。映画『わたしの妻のすべて』(ミン・ギュドン監督、秀フィルム・映画社家制作)の毒舌美女ヨン・ジョンインだ。米ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショーと同じくらい挑発的で、米映画『キューティ・ブロンド』のエル・ウッズと同じくらいキュート。「イム・スジョン(32)だからジョンイン役が演じられたのだ」とみな口をそろえる。

 映画ではひっきりなしに毒舌でまくし立てる。美しいルックスに完ぺきなプロポーション、見事な料理の腕前…とスペックは最高だ。しかし、人生の信条は「正直」、どんな困難もいとわない性格の持ち主で、夫をげんなりさせる。ところが、その毒舌に共感する女性は多い。

 「新聞を読めば良家の奥様で、読まないとオバサンですか。言いたいことがあるときにすぐオバサンと言われるから、韓国のオバサンたちはオバサンでありながら、オバサンと言われると歯ぎしりするんです」「一生懸命生きろと言って朝型人間になることを強要する人も嫌です。(早起きは三文の得という意味で)早起きする鳥は虫をついばめるっていうけど、じゃあ早起きの虫は?」「私は男の人に人気がありません。男性は言いたいことを言う女が嫌いですから」

 さらに「自分の主観がはっきりしていて、意見をきちんと言えるところがジョンインと似ています」と話した。映画で一番共感したセリフも「礼儀さえきちんと守れていれば、相手の顔色はうかがわなくてもいいと思っています」だ。

 「事実、女優としてもそう生きてきたし、そう生きようと努めています」というイム・スジョン。女優として生き、感じてきたという思いをヨン・ジョンインの話し方できちんと、礼儀をわきまえて語った。

 「女優にだけ求められているイメージってあるじゃないですか。作品中でさえ賢くて何かとはっきり言う女性の役は愛されません。みんな女優の顔、体、ファッションには関心があるけど、考えていることには関心がないですよね。絵を見るように女優を見ているのです。『あ、いい!』と言ったとしても、その次は『監督はどんな考えでこんな絵を描いたのかな?』とか言うんですよ」

 イム・スジョンは「『だから不満だ』ではなく、『興味深い』ということです」と発言の最後の部分を方向修正した。
 映画に出てくる後ろ姿のオールヌードも「私の体ではありません」と正直に打ち明けた。絵コンテが急に変更になり、シェイプアップする時間的な余裕がなかったため、やむを得ず代役を使ったそうだ。

 「作品中は主に脚を中心に出しているということだったので、撮影前は下半身のカメラ写りしか考えていませんでした。私はやせているので、脚にハリを出す必要があったんです。6年前の映画『サイボーグでも大丈夫』でもやせこけた後ろ姿をワンシーン撮るために3カ月準備しました。今回も状況さえ合えば自分でしていたと思います。でも、私は今でもその時の(代役という)選択の方がプロとしてよかったと思います」

 『わたしの妻のすべて』がもたらした変化には、結婚に対する考えを挙げた。32年間生きてきて「結婚はしなければならないもの?」と考えていたイム・スジョンにとって、ものすごい変化だ。人妻、それも離婚の危機に直面している妻を演じた直後に生じた変化だけに本当に皮肉だ。

 「この作品は男女関係に関するいろいろなヒントをくれます。ジョンインはこう言います。『一緒に暮らしているうちに口数が少なくなります。お互い何でも知っていると思うようになるから、あえて話すということがなくなるのです。そこから誤解が生まれます。沈黙に慣れてしまうのは怖いことです』。はっきりとした答えでなくても気付いてみると考え方が変わりますね。今は『結婚は絶対にしてみなきゃ』と思っています」

 理想のタイプは気持ちが通じる人、話をよく聞いてくれる人、相手のために頑張る人だそうだ。

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