ちょうど20年前の1992年3月23日。一世を風靡(ふうび)した新世代文化のシンボル的グループ「ソテジワアイドゥル(ソテジと仲間たち)」が正式デビューしたその日は、韓国大衆音楽の歴史に新たな時代の区分法が生まれた意義深い日だ。その日を境に、自営業レベルだった韓国大衆音楽界は、一大産業へと大幅に規模を拡大した。

 「ソテジ・シンドローム」と呼ばれる彼らの神話は、90年代の社会現象を説明する明確なキーワードとなった。合計400万枚以上を売り上げたオリジナルアルバム4枚は、97年にサムスン経済研究所が過去最高のヒット商品と評価、リーダーのソテジは成功した企業経営モデルになぞらえられた。

 92年4月11日に放送されたMBC『特ダネテレビ芸能』の「新曲ステージ」は消して忘れられない。その日ソテジのステージを見た審査員たちは78点という平凡な点数を付けたが、視聴者たちの考えは違った。番組出演後、各音楽番組のランキング1位は彼らが総なめした。ソウル・オリンピック公園体操競技場で開かれたコンサートには、10代のファンがチケットを購入しようと1キロ以上も長蛇の列をなし、公演中に少女たちが号泣して気絶するという異例の事態になった。タグを付けたまま服を着るというユニークな着こなしは、瞬く間に10代の流行ファッションになった。

 70年代の若者がそれまでのポップカルチャーの主役だった既成世代を押しのけ「若者文化」を作り上げたように、90年代はソテジが登場したために若者がポップカルチャーの主役になった。既成の文化に対し反感をあらわにしたソテジの音楽は、入試至上主義の競争社会で抑圧されていた10代の若者にとって痛快で、その熱気は既成世代の懸念をよそにソテジを同時代のシンボルとして押し上げ、「新世代文化」全盛時代の扉を開いた。

 ソテジの音楽がそれまでと違った決定的な要因は、大衆への波及力もさることながら、抵抗の要素まで込められたメッセージ性があったからと言える。人気スターでありながら、音楽的な実験も試みたアーティストとしての存在価値は、10代を代表する「文化大統領」と評価されるに十分だった。従来の制度による教育に抵抗を感じ高校を中退したソテジは、曲をリリースするたびに社会への抵抗メッセージをあらわにし、波紋と論争を呼んだ。ヘビーメタル・サウンドで重武装し、南北統一問題や画一的な教育への批判を込めた「教室イデア」は「逆再生すると『血が足りない』という歌詞が聞こえる」などの都市伝説を生み、悪魔崇拝主義論争まで巻き起こした。

 中でも最たるものが4thアルバム「時代遺憾」だ。収録曲「時代遺憾」や「必勝」は公演倫理委員会の事前審議で歌詞修正を要求されただけでなく、米国のヒップホップグループ「サイプレス・ヒル」の曲の盗作説までささやかれたため、歌詞がないままアルバムを出した。この事件は歌手チョン・テチュンの「事前審議制違憲提訴」と相まって、ついに事前審議制廃止につながった。

 ソテジは潔癖といっていいほどメディアへの露出を嫌っており、「商業主義的な意図があるのでは」という声もある。だが、今や彼も中堅ミュージシャンになった。20年も彼を応援しているファンに応えるためにも、より積極的にファンとコミュニケーションする必要があるのではないだろうか。

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