人類は火を発見して食べ物を調理しただけではなかった。土を焼いて硬い器を作った。このように土で作った器が「陶磁器」だ。

 南北に連なる山脈「白頭大幹」を屏風のように背にした慶尚北道聞慶市は、陶磁器の本場と言われている。陶磁器と言えば、京畿道利川市・広州市・驪州郡や全羅南道康津郡を思い浮かべる人も多い。だが、最も韓国らしい陶磁器が見られるのが、この聞慶だ。

 ここで生産されている陶磁器は「チャッサバル(茶器)」または「マクサバル(普段使いの器)」と呼ばれている。器に入れる物に応じて「スルサバル(酒器)」「パプサバル(ご飯茶わん)」などとも言われる。これらは全て食物を盛る「入れ物」という意味で、庶民がよく使っていた韓国伝統の器だ。

 このようにさまざまな器が「聞慶伝統茶器祭り」で一堂に会した。今年で14回目を迎えたこの祭りでは、多種多様な伝統茶器を鑑賞できるのはもちろん、盛りだくさんの体験イベントなどが企画されている。

 祭りが行われる聞慶峠は入り口から観光客でにぎわっていた。

 もともと祭りは無料で行われていた。しかし、今年からは5000ウォン(約350円)の入場券を購入する必要がある。その代わり、その入場券を会場内のブース・居酒屋・店の食事・体験イベント・土産品購入などで現金と同じように使用できる。

 会場内に入ると、まるで朝鮮王朝時代に戻ったかのよう。軒の低い伝統家屋が連なる会場は、韓国の昔の趣そのままだ。路地のあちこちでさまざまな体験もできる。特に、今回の祭りは家族やカップルのためのプログラムが豊富だ。

 会場内の「陶磁器土体験」では、陶磁器を作るのに使われる柔らかい土をはだしで踏んだり、手で触れたりできる。普段はできない体験だからか、大勢の人々が集まっていた。

 その前にあるのは「鉄球探し」。陶磁器の土を準備するスペースに隠されている鉄の球を探すコーナーだ。鉄の球が見つかったら商品がもらえるため、親子連れに大人気だった。

 このほかにも、今回の祭りでは地元有名陶芸家の作品約5000点が展示されており、聞慶の陶磁器職人との出会いを通じ、韓国伝統茶器の文化が味わえる。また、全国の陶芸名人8人の作品を展示する「陶芸名匠特別展」や、聞慶の陶工の作品を20-50%割引販売する「聞慶伝統陶磁器名品展」など、見どころがいっぱいだ。

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