2度目の時代劇挑戦となった『太陽を抱いた月』が大ヒットし、その存在感を見せつけて俳優として飛躍を遂げたチョン・イル。「4th日韓友情フェスタ2012」出演のため来日したチョン・イルに、韓国ゆかりの地、高麗郷・高麗神社(埼玉県日高市)でインタビューした。

―『太陽を抱いた月』に出演を決めた理由は。

 「陽明のオファーを受けたのは、『美男<イケメン>ラーメン店』の撮影真っ最中ですごく忙しい時だったんですが、監督と作家さんにお会いし、キャラクターに魅力を感じて出ることを決めました」

―イ・フォン(キム・スヒョン)の兄ながら側室の子である陽明君役で、ライバル関係と聞いたときに、少し悪役かと思いましたが、違いましたね。

 「陽明は、悪役ではないんですよ。悪い人で悪役なのではなくて、愛する人と弟を守るために悪役になる、といういい人なんです(笑)」

―表向きは快活に振る舞い、でも心の奥には寂しさやヨヌ(ハン・ガイン)への愛を秘めている…というキャラクターだったのですが、どう考えて演じましたか。

 「原作では、もっと暗くて冷たい人物だったんですよ。ドラマの後半にいくとストーリーの展開上、暗くなるので、最初からそんな暗さを見せる必要はないのでは、と最初は明るく演じることにしました」

―1度ならずも2度も同じ女性をイ・フォンに取られる形になったわけですが、告白シーンは感動的でした。何か思い出はありますか。

 「本当に、僕も胸が痛かったです。もし自分がそういう立場なら、告白して受け入れられなければ、そのときはつらくても、あきらめると思います。なのに、ドラマの中では2度も…つらすぎますよ。陽明は一途すぎますね(笑)」

―最終回の戦いのシーンは圧巻でしたし、剣術アクションがものすごくかっこよかったし、迫真の演技で素晴らしかったのですが、どんな気持ちでしたか。

 「原作を読んだところ、そこが一番インパクトのあるシーンだと思いました。一番大事な場面だと思ったので、集中し、没頭しました。指をけがしたんですが、(傷あとを触りながら)まだ直りきってはいませんね」

―では、「ぜひここを見て」というところはやはりそのシーンでしょうか。

「そうですね。最後のシーンはじっくり見てほしいです。それから、フォンと神経戦、駆け引きをやる場面が多いので、そのあたりの演技も見て楽しんでいただければと思います。明るかった陽明が暗くなっていくところも見どころです。なぜ、陽明がそうなってしまうのか…期待してください」

―陽明君は、まだチョン・イルさんの中に残っていますか。

 「もちろん、心に残ってはいますが、次の作品に移るなら、捨てなければならないですね。
今は、少しずつぬけているところです」

―今回の作品では、演技力も高く評価されましたが、ご自身で満足度は。

「演技に満足した、という思いはないです。でも、これからも努力を続けていきたいと思います」

―キム・スヒョンさん、ソン・ジェリムさん(ウン役)と、一緒に旅行に行きたいというほど親しくなったそうですが。

 「彼らとの関係は、ドラマの中では弟と友達で、共演シーンも多かったし、仲良くならないわけがない、といった感じでしたね。時間がある限り、一緒にご飯を食べたり、話をしていました。それで、ドラマが終わってからも仲良くしていて、これから旅行に行くと思います。日本?かもしれませんが、まだわかりません」

―ドラマを終えて、ニューヨークに行かれましたが、リフレッシュされましたか。

 「グラビアの撮影と、休息を兼ねて行きました。メトロポリタン美術館に行ったんですが、そこで思ったんです。絵を描きたいな、って。韓国に帰ったら習ってみようかと思ってます。これまで、絵をまともに書いたこともないし、特に習おうと思ったこともないのですが、なんだか、絵を見ると、書いた人の感情や状況が感じられるようになったんですよ。それで、自分も自分の感情を絵で表現してみようかと思ったんです」

―これまで、趣味はありましたか。

 「趣味ってなかったんですよ。作品を休まずやってきたので、時間もなかったですし。そんなこともあって絵をやってみようかと(笑)」

―次の作品を早くやりたいですか、それとも少し充電期間を持ちたいですか。

 「(作品を)やらないと!(笑)。でも、今決まっているものはまだないです。でも作品が決まったら、また一生懸命やって、皆さんに喜んでもらえたらうれしいです」

 さわやかで自然体なところが魅力のチョン・イル。とても礼儀正しい好青年だが、あまり熱く語るタイプではない。しかし今回は「絵を描いてみたい」といった展望を明るく語るなど、少しじょう舌になった印象があった。彼の成長か、出演作がヒットを続けている自信からなのかわからないが、彼の魅力が一段とアップしたことを感じた。

ホーム TOP