音楽
IUのヒット3曲生んだ名コンビ「秘訣(ひけつ)はおしゃべり」
今のK-POP界のトレンドは誰が何と言おうと「国民の妹」IU(18)だ。昨年11月末にリリースした2ndアルバムの全曲が発売直後のリアルタイム音楽配信ランキングで上位を独占、リード曲「君と私」はテレビ局の歌番組などで1位を総なめにした。
IUのヒットの裏には、隠れた功労者がいる。IU人気をブレークさせた大ヒット曲「コ・ゴ・ト」「Good Day」「君と私」を作った作詞家キム・イナ(33)と作曲家イ・ミンス(36)のコンビだ。2009年に韓国全土をいわゆる「小生意気ダンス」ブームに巻き込んだガールズグループBrown Eyed Girlsの「Abracadabra」をはじめ、08年から昨年まで2人で作った約20曲のうち8曲がランキング1位になるなど、驚異の「打率」でヒットを生み出している。
先日、ソウル・江南で2人に会い「短期間に相次いでヒット曲を生み出した原動力」について尋ねると、その秘訣(ひけつ)を「おしゃべり」と答えた。「作業に入ると、作詞・作曲チームとプロモーションビデオチームは時間があればひざを突き合わせておしゃべりします。例えるなら町内会や井戸端会議のような感じ。日々の生活の話などを自由にして、歌の中核となるアイデアを出します」(イ・ミンス)。「まず、歌詞を書いてメロディーを付けるか、それともその逆なのかをよく聞かれますが、そういうのはありません(笑)」(キム・イナ)
キム・イナはCD会社で企画の仕事をするかたわら、時々歌詞を書いていた。そんなとき、03年発売のソン・シギョン3rdアルバム「10月に雪が降れば」が評判を呼び、専業の作詞家の道に入った。大学グループサウンズ時代に作曲を始めたイ・ミンスは先輩の紹介で作曲家になり、02年Country CoCoの5thアルバム収録曲「明朗運動会」でデビューした。
2人の初コラボレーションは08年のBrown Eyed Girls(ブアガル)の「Love」だった。この曲も音楽配信チャートリアルタイム1位を記録し、それなりにヒットしたが、大ヒットと言えるのは翌年、同じくブアガルの「Abracadabra」(共同作曲にRoller Coasterのジヌも参加)だった。この曲は音楽配信・音楽番組チャートを席巻しただけでなく、ブアガルを韓国大衆音楽賞、Mnetアジアン・ミュージック・アワード、ソウル歌謡大賞などに輝かせた。
2人がIUの曲を手掛けたのは、10年夏IUに2AMイム・スロンがフィーチャリングした「コ・ゴ・ト」が初めて。続いてIUのために作った「Good Day」はその年の冬の歌謡・音楽配信チャート1位、11年にカラオケリクエスト曲1位(カラオケ機器企業・クムヨン集計)となり、大ヒット曲の一つとなった。2人はIUについて「自分のカラーがはっきりして、中身がギュッと詰まっている」と評した。「レコーディングでどれだけドタバタしたことか…。僕がジウン(IUの本名はイ・ジウン)に「歌が下手」と言うと、ジウンは「お兄さん(イ・ミンスのこと)の曲はクサイよ。でも(キム・)イナ姉さんのために歌ってるの」と負けずに言い返してくるんです(笑)。でもレコーディングのときは自分がどのパートでどう歌うべきか、確実に把握していますね」(イ・ミンス)
2人は最近、厳しい競争社会などを間接的に批判した社会性の強い曲を発表して注目された。「また慌ててどこに行くの 時も慌てて過ぎるの/休んでから一緒に行きましょうよ まあるくいきましょうよ」という歌詞が入った男女混成グループSunnyHillの「キリギリス賛歌」だ。SunnyHillのメンバーたちと合宿し、「丸く、丸く」という童謡を歌っていたときにイ・ミンスがインスピレーションを得たという。「幸せを知らず、仕事や勉強をしている人たちに『今この瞬間を生きよう』というメッセージを投げかけたかったんです」(キム・イナ)、「社会的な話題や同時代の人々が生きていく姿に、アーティストとして関心を持つのは当然でしょう」(イ・ミンス)
評論家らはこのコンビの強みを「リバイバル的な音楽の手法」と話す。評論家のソン・ギチョル氏は「特定の単語や意味の分からない言葉がリフレインされる最近の歌に比べ、キム・イナの作詞は内容が日記や手紙のように具体的。イ・ミンスのメロディーは進行の段階が明確な1980-90年代の歌を連想させる。年齢を越えた魅力を持つIUの声と合わさり、最高の相乗効果を生み出している」と分析した。