ドラマ『ミス・リプリー』で、不幸な生い立ちから、生きていくために嘘をつき、男をだまし、止められなくなっていく女性ミリを演じた女優イ・ダヘ。「悪女」を演じ、キム・スンウ、JYJのユチョンの年上・年下のイケメン男性をとりこにする役で、新境地を見せたイ・ダヘだが、演じるには楽しさの反面、葛藤(かっとう)もあった。そんな「ミリ」について語ってくれた。

―ミリのどのような面に魅力を感じて、この作品を選びましたか。

 「これまで演じたことのない役をやってみたいという気持ちもありましたし、もっと年を重ねる前に悪役もやってみたいという気持ち…それから恋仲のミョンフン(キム・スンウ)とはかなり年が離れているじゃないですか。そのような、若い時にしかできない役をやってみたいという気持ちもありました。わたしは新しいものが好きで、願っていたような役だったので決めました」

―役作りはどのような点を重視しましたか。

 「これまで、かわいかったり、女性らしいタイプを『マイ・ガール』や『チュノ~推奴~』などで演じてきましたが、それとは違う姿を見せようと目線や外見的な部分も気遣いました。男性が一目ぼれするような女性を演じなければならなかったので…どうすればいいんだろうとずいぶん悩みましたし、ダイエットもしました。また、声のトーンだとか、表情も気にしていたと思います」

―ミリに共感できた点は。

 「ミリの欲望、成功のためなら何でもするという女性ですが、わたしがもしミリのような不運な人だったらと思うと、理解できた部分もありました。普通の人生を歩んできた人には度が過ぎると感じるかも知れませんが、もし自分がミリのような立場だったら、と理解しようと努力しましたし、最後は共感もできました」

―ミリを演じて苦しかったことは。

 「すごく感情の波が激しい女性なんですよね…ヒジュ(カン・へジョン)とは幼なじみですが、彼女を好きな気持ち、嫌ってねたむ気持ちを併せ持っています。ヒジュはミリとけんかしたにもかかわらず、ミリの誕生日だからといって、ごちそうを作ります。そして、ヒジュが残したメモを読んで、ミリは自分の行動を後悔し、心を痛めます。(理解するのが)難しかったのは、その次のミリの行動が、ヒジュのポートフォリオを盗むというものだったことです。それって(感情のない)ロボットのような行動ではないかと…監督に何度も相談しました。人間として納得いかなかったので、監督に疑問をぶつけたこともあります。自分とは違う感情を持ったミリとぶつかり、苦労したひとときでした」

―最も思い出深いシーンは。

 「日本のある駅で、ヒラヤマ(キム・ジョンテ)に追われ逃げ惑うミリが、電車のドアがタイミングよく閉まりその場から逃げ切ることができたときは、逃げ切ったことへの安堵感や日本での苦しかった生活を思い出したりと、いろいろな感情が複雑に込み上げ、泣きながらも笑いが漏れてきました。そのシーンが印象深かったですね。とにかく1話はいろいろ印象深いシーンが多くあって、セクハラを受けたり、トイレで怒りを爆発させたり…そういうことが記憶に残っています」

―好きなシーンは。

 「ユヒョン(パク・ユチョン)にも、ミョンフンにも、本当にその人を思う気持ちが芽生えた時ですね。ミョンフンにはずっとうそをつき続けますが、その事実が発覚した時もミョンフンは温かくミリを抱いてくれます。その時は心が痛み、本当の恋心を持っていましたね。それから、ユヒョンに対しても、二人きりの時にすごく幸せを感じたり、彼の後姿を見て、苦しかったりするシーンがあります。私はそのような本当の気持ちを演じる時がうれしかったです。また、いろいろな悪行を重ね、不安でおびえるシーン…それらも印象深いですね」

―韓国の代表的なダンディーガイ、キム・スンウさんや大人気のユチョンさんの愛を独占する役、という点はどうでしたか。

 「光栄でした(笑)。いろんな面で相反する二人なのですが…実際にもお二人は全然違う魅力をお持ちで、現場でも彼らがいるだけで十分楽しかったですし…。キム・スンウさんはかなりお茶目な方で、たまに『このやろう、最近どうしてるんだ? 今度○○に会おうか』と言ってくださって、お互い約束のちょうど5分前に到着するんです。そういうところは気が合ってましたね(笑)。ユチョンさんは、童顔に反して非常に大人っぽいところがありました。キム・スンウさんはお茶目に『疲れたよ~』と言ったりもしますが、ユチョンさんはそういうところもなく…大人っぽかったです」

―面白かったエピソードを教えてください。

 「ある日とても暑かったので、ユチョンさんに『かき氷買って』とおねだりしたのですが、移動などでタイミングが悪く結局おごってもらえませんでした(笑)。それで一日中ふざけて、『かき氷はどうしたの?』って言っていたら、ユチョンさんは、言い訳上手というか、『移動もあるし、スタッフの目もあるから、自分たちだけで食べるわけにはいかない』などと丁寧に説得してくれましたね(大笑)」

 ドラマはシリアスに展開し、メインキャスト4人の間にはピリピリしたものがただようストーリーだが、ミリ同様、イ・ダヘも二人の男性を魅了したようで、現場では和気あいあいとしていた様子が伝わってきた。

 イ・ダヘのほか、パク・ユチョン、カン・へジョン、キム・スンウら出演の『ミス・リプリー<完全版>』Vol.1~8(全8巻)は1月25日、TSUTAYAのみでレンタル開始。「TSUTAYAオリジナルコンプリートDVD-BOX」は2月3日、リリースされる。

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