寒い日は暖かい家の中にこもりがちだが、じっとしてるだけではもったいない年末年始。体が温まり、健康にも良い海水風呂に行ってみてはいかがだろうか。

 仁川の沿岸埠頭には韓国の元祖「海水風呂」がある。ここでは1980年代初めから海水風呂が見られるようになり、現在は大小の海水風呂が並ぶ「海水風呂通り」まで形成されている。

 このたび、冬の寒さに縮こまり、カチカチに凝った肩と、冷たい風に当たりガサガサになった肌を蘇らせることができるという、仁川の海水風呂を訪れた。風邪など引いてはいけないと厚いジャケットを着て出掛けたが、いざ海水風呂に到着すると、厚着など全く必要ないことが分かった。

 海水風呂というと、海水を温めて使っているところが多い。しかしここでは、地下深くを流れる岩盤水を熟成させて使用している。海水は、体に良い90種余りのミネラル、塩化ナトリウム、マグネシウムなどを含んでおり、神経痛や関節炎、皮膚病などに優れた効果があることで知られている。

 脱衣室を通り、浴場に入ってみると、潮の香りと共に、真っ白な水蒸気が視界を遮った。中にいた人々に感想を聞くと「ここの水質はほかよりずっと良い」「一般的な銭湯ではあまり感じなかったけれど、ここの海水風呂に入ると、体が軽くなるような気がする」など好評だった。

 海水を使った風呂は、韓国の医学歴史書『東医宝鑑』にも記録されているほど、長い歴史を持っている。海水は肌の脂肪やあかを溶かすため、海水風呂に入るとあかすりをしたような効果があるという。

 ここで約25年間にわたり海水風呂を営んでいるユリム海水風呂のイ・フェジャさんは「地下150メートルから、海水と同じ濃度の水を引き上げて使っている。海水の成分が全身を消毒し、異物を取り除くため、疲れているときに海水風呂に入ると体が軽くなるはず」と説明した。

 海水風呂で体が軽くなった後は、新鮮な魚を味わえる仁川総合魚市場を訪ねてみると良い。

 ここは、首都圏の海産物卸売市場のうち最も古く、水揚げされたばかりのワタリガニやエビ、ヒラメ、イシモチなど、約400種類の新鮮な海産物や塩辛を購入することができる。

 市場で会ったクァンス商会のホン・チョングンさんは「目の前の海で取れたばかりなので新鮮。仁川市場で販売されているカキやタコなど、どれも高品質」と話した。

 海水風呂に入り魚市場を見学した後は、辛くて酸っぱい刺し身和えを味わってみよう。沿岸埠頭には刺し身専門店が並ぶ大規模な「刺し身通り」のほか、サッパの刺し身の元祖とも言われる「サッパ刺し身和え通り」もある。

 ここで辛味のきいたサッパの刺し身和えと一緒に、しょう油漬けのカニの身とごま油を交ぜて食べると、これ以上の贅沢はないと思わせるほどの美味しさ。韓国では心の狭い人のことを「サッパ心」と言うが、サッパはそんなことわざが不思議に思われるほど、噛めば噛むほど味わいのある魚だ。

 そのほかにも沿岸埠頭付近には観光スポットが多い。「時折やって来るあの船は、どんな過去を積んでくるのか…」。沿岸広場には、歌手キム・トリオの曲『沿岸埠頭』の歌詞が書かれた石碑もある。展望台に上ると、仁川の港を見渡すことができる。

 また最近、西海(黄海)と漢江を結ぶ京仁アラベッキル(船の道)が開通したため、沿岸埠頭ターミナルから遊覧船に乗ると、八尾島や仁川大橋も眺めることができる。

 不況により低迷を続けた1年が終わり、新しい1年が幕を開けた。今年嫌なことがあったら、ここに来て海水風呂で体を軽くし、新鮮な魚を食べて元気をつけ、新たな一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

ホーム TOP