韓国で大ヒットした「朝鮮版ロミオとジュリエット」といわれる悲恋時代劇『王女の男』に主演し、自身の持てる魅力を最大限に発揮したパク・シフ。これまでも愛に苦悩する男を魅力的に演じて視聴者の胸を熱くしてきたが、本作では、明るくすがすがしい両班の息子から、罪人とされ復しゅうに燃えるブラックな男、そして得意の切ない愛に苦悩する男、と幾度となく変化するスンユというキャラクターを見事に演じた彼にインタビューした。

―『王女の男』は時代劇ですがラブストーリーが中心のドラマということですが、ズバリ、ここを見て、というところは。

 「男女間の愛を甘く、ロマンチックに表現するよう努力しました。普通の時代劇では見ないような濃いキスシーンもいっぱいあって…(笑)。ちゃんとした史実を扱った部分もあったので、メロドラマの部分と伝統的な時代劇の部分が良く調和したドラマだったと思います。大人たちの暗闘カやリスマ対決もあって、若い男女のロマンスもあって、と見どころが満載なところですね」

―ドラマ序盤では、名門の子息キム・スンユが「ワンチョナム」(完ぺきな朝鮮男)「タルチョナム」(甘い朝鮮男)と呼ばれ人気でしたが、どう思いましたか。

 「ハハハ…そんな風に言われて、やっぱり時代劇やってよかったかなと(笑)。序盤では、苦労のない名門の子息らしく明るく、甘いロマンスを見せたかったんです。初めにそういう明るい甘い演技を見せることで後半のとても切ないメロな部分がもっと生かされると思いました」

―中盤では一転、ボロボロの姿を見せました。現代劇でも、これまで御曹司などいつもびしっとキメた姿しか見せてなかったのですが、そんな痛々しい姿になった感想は。

 「特にそういう扮装がしたかったわけではないですが、劇中必要だったので…(笑)。きれいな服のあと、そういう違う姿もお見せできてよかったと思いますよ。すごくかわいそうで、たくさん同情していただけましたし(笑)」

―そんなかわいそうな時を経て、「セクシー・スンユ」「ダーク・スンユ」と呼ばれるようになりましたが、そういう呼称はどう思いましたか。

 「『ダーク・スンユ』はわかるのですが、『セクシー・スンユ』は…? 水を浴びるシーンとか、そっとさりげなく胸元を明けて武術の練習をする、そういう場面からかな(笑)。いや、きっと男らしく、カリスマある姿がセクシーだったのでしょう。あ、セリョンの首を絞める時がセクシーだったかな…ハハハ」

―その首を絞めるシーンについては、相手役のムン・チェウォンさんが、「パク・シフさんの演技がリアル過ぎて本当に苦しかった」と話されたのですが、その時のエピソードはありますか。

 「もう少し痛くないようにも出来ましたけど、彼女を思ってそうしたんですよ(笑)。いい演技ができるように、いい感情が出るようにと…すべていい芝居のためですから(笑)。でも、よく撮れてましたよね? 二回、首を絞めるシーンがあるんですが、実は二度目はアドリブだったんです」

―目の演技がとても魅力的でセクシーでした。覆面をした姿や、せりふがない演技も多かったのですが、ご自身の目での演技についてどう思いますか。

 「自分の目の演技、気に入ってます!(笑)。まったくせりふがなく、眼差しだけで話をしなくてはいけないシーンもあったんです。もともと僕は言葉数も少ない方だし、性格も人の話を聞いてあげるほうなのでそういう面で(目だけの演技は)楽でしたし、視聴者の方も気に入ってくださったみたいでよかったです」

―一番印象に残っているシーンとそのエピソードは。

 「沈没船からの脱出シーンですね。初めの方に撮ったんですが、広い海で、本当に落とされて撮りました(笑)。安全装置があったわけでもなく、危険の中、撮ったんですよ(笑)スキューバーダイビングの救命の方が二人いたんですが、彼らも潮流に巻き込まれて大変そうでした(笑)。海の中も何があるかもわからないし、サメが現れるのか何が現れるのか…(笑)、本当に苦労して撮影しました。それも真夏だったら良かったのに、春だったのでとても寒かったんです。忘れようにも忘れられない撮影でした」

―『王女の男』の撮影を通じて学んだこと、俳優としての進歩になったと思うことは。

 「初めてタイトルロールを引き受けたことでしょうか。最初は負担になったし、責任感も大きく感じましたが、結局『やった!』という自信もでき、作品を全体的に見る視野も少し広くなったと思います」

―『王女の男』を終えてすぐ映画『私が殺人犯だ』に入られましたが、スンユからはすぐ抜けられましたか?

 「映画に入る前に、2週間ぐらい時間がありました。その間に、スンユを離れて、シナリオを分析しながら映画に集中することができるように努力しました」

―この映画を次回作に選んだ理由は。

 「以前から、サイコパスのようなキャラクターを演じてみたかったんです。今回の作品がそれにぴったり合う役だったので、出演することになりました。来年、スクリーンでのパク・シフのまた違った姿を楽しみにしてください。その前に、『王女の男』のパク・シフを見て、愛してください!」

 幼くして即位した朝鮮王朝第6代王の下でスヤン大君(キム・ヨンチョル)はクーデターをもくろむ。政敵である左議政キム・ジョンソ(イ・スンジェ)の息子スンユ(パク・シフ)とスヤン大君の娘セリョン(ムン・チェウォン)は、そんな互いの素性を知らずに愛し合うようになるが、クーデターにより、2人の関係は一変していく…。

 『王女の男』は衛星劇場で2012年1月15日より毎週日曜午後11時から2話連続放送。また、本放送に先駆け、今月25日午後11時に衛星劇場で第1話が無料で先行プレミア放送され、ホームドラマチャンネルでも今月28日午後8時から第1話が特別放送される。

 『王女の男』で多彩な姿を見せ、演技の幅を広げるとともに、余裕も感じられるようになったパク・シフ。「スター」としてステップアップは、このインタビューの笑顔でも感じられた。やりたいといっていた役柄はドラマでは難しそうだと思ったら、しっかり映画で挑んでいる。彼の次のステージも大いに期待できそうだ。

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