五角形の火山岩からなるこの島は、太古の原始的な自然を大切に残している。海岸沿いを歩くと、波に削られてできた奇岩や天然の洞窟(どうくつ)など、自然の神秘をありのままに感じることができる。ここは「神秘の島」と呼ばれる鬱陵島だ。

 浦項旅客船ターミナルを出航したフェリー(サンフラワー号、2394トン、定員920名)は3時間ほどで鬱陵島に到着した。船が停泊した鬱陵島の港は観光客や貨物を運ぶ人たちであふれ返っていた。ターミナル近くの観光案内所には、現地の見どころを紹介するパンフレットやガイド本などが置いてある。

 最近のウオーキングブームで、鬱陵島にもさまざまなトレッキングコースが誕生した。鬱陵島海岸線トレッキングや陸路トレッキングなどだ。特に、道洞港の裏手にある「杏南海岸散策路」コースは、今年3月にKBS第2の人気バラエティー番組『ハッピーサンデー』の「1泊2日」のコーナーでレギュラー陣も訪れた場所だ。

 この散策コースを歩くと、あちこちに火山活動の痕跡が残る岩を見掛ける。雨の日には、岩に沿って流れる雨水が滝を連想させる。雨の日にしか見られない、何ともぜいたくな風景だ。

 このコースは普通のペースで歩けば2時間ほどだが、周辺の絶景を味わいながら歩けば往復3時間は優にかかる。途中には売店もあるが、飲み物や軽食は各自で準備しておく方が良いだろう。

 道のあちこちにそびえ立つ岩は、溶岩活動で急激にできたせいか、ほとんどが奇妙で興味深い形をしている。各コースにはカメ・ライオン・クマなど動物の名前が付いた岩がある。その名を聞いて岩を眺めると、本当にそっくりに見えることだろう。この島の岩はすべて自然が生み出した美しい彫刻だ。

 鬱陵島の西面と北面の間には、観光スポットの一つ「テハ・モノレール」がある。モノレールに乗って頂上に登ると、韓国10大秘境に選定された「待風坎海岸絶壁」を堪能することができる。

 「待風坎」は風を待つ丘という意味だ。展望台に登ると、その名の通り強い風が吹いていて、エメラルド色の海と黒い絶壁が織り成す絶景が広がる。まるで大きなびょうぶに描かれた一幅の絵のようだ。

 島で会ったイム・ジョンウォン慶尚北道文化観光解説員は「鬱陵島は島の至る所に自然の美しさが残っている。今まで太古の自然をそのまま保ち、ほかの島と違って豊かな水に恵まれ、暮らしやすい所だ」と、世界10大海洋リゾート地に選ばれた理由を語った。

 海岸コースを歩き終えると、今度は陸路コースも行ってみたくなる。最初は聖人峰に登ろうと思っていたが、天気が悪くなってきたため苧洞港近くの「蓬莱の滝」を訪れることにした。ひとしきり降った雨のおかげか、滝へと続く林道はとても色鮮やかに輝いて見えた。

 滝に向かう途中には「天然のエアコン」と言われている風穴がある。洞窟の中の小さな穴から吹いてくる冷たい風は、山歩きで疲れた人々をスッキリと癒してくれるため、夏は絶好の避暑地となる。

 風穴と杉に囲まれ森林浴を楽しんだら、まもなく滝に到着だ。高さ約25メートルの3段になった滝から岩の間に落ちる水が胸の奥まですっきりリフレッシュさせてくれる。ここを訪れる観光客たちは滝の前で記念撮影を楽しむ。

 このほか、陸路コースでは聖人峰を登る「登山コース」、内水田と石浦里を結ぶ「鬱陵周遊路」、南陽里と台霞里をつなぐ「周遊路」などがある。

 鬱陵島に行くことが決まったら、旅客船のチケットを事前に購入しておいた方が良い。最近は、この島を訪れる旅行客が増えており、混雑が予想されるからだ。また、天候により出港できない場合もあるため、旅客ターミナルに向かう前に天候や出航状況を確認しておく方が良い。

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