▲写真左から、チョン・リョウォン、タン・ウェイ、コン・ユ、コ・ス、ハン・チェヨン、チェ・ガンヒ、スエ。

 韓国で最も権威のある2011年の青龍映画賞は『不当取引』が受賞し、話題をさらった。

 25日夜、ソウル市内の慶煕大学「平和の殿堂」で、イ・ボムス、キム・ヘスの司会進行により開催された第32回青龍映画賞授賞式では、リュ・スンワン監督の『不当取引』が、『高地戦』『最終兵器 弓』などのヒット作を抑え最優秀作品賞に輝いた。『不当取引』は、巨大な権力機関の癒着など、韓国社会の暗部にスポットを当てた問題作で、ファン・ジョンミンとリュ・スンボムが主人公2人を演じた。受賞のコメントを求められた映画制作会社「外柔内剛」の代表でリュ監督の妻でもあるカン・ヘジョンさんは「思いも寄らない受賞。青龍映画賞の公正さを信じるようになりました」と述べた。

 主催側はこの日、全ての賞の内容を事前に公開せず本番で発表したため、授賞式は2時間にわたり張り詰めた雰囲気の中で行われた。

 授賞式の花である主演女優賞は『ブラインド』のキム・ハヌルに贈られた。同じく主演女優賞にノミネートされていた中国人女優タン・ウェイに祝福されながら壇上に上がったキム・ハヌルは「これまで良い作品に出演させていただき、何度もノミネートされましたが、賞はいただけませんでした。今この瞬間に賞をいただけることに感謝申し上げます。とてもありがたく、より大切な思いを強く感じます」とあいさつした。キム・ハヌルはこの作品で謎の連続殺人犯に立ち向かう視覚障害者の役を演じた。

 主演男優賞は、今年の韓国映画最高ヒット作『最終兵器 弓』のパク・ヘイルが受賞した。朝鮮最高の弓の名手役で息詰まるアクションと激しい感情を表現したパク・ヘイルは「『嫉妬(しっと)は私の力』で青龍賞新人男優賞にノミネートされたとき、コチュジャンを記念品としていただきました。今はすごい作品の準備をしています」とかぶっていた帽子を脱いであいさつした。すると、帽子の下からは髪の毛1本ない見事な丸刈りの頭が。それを見た客席からは拍手が巻き起こった。パク・ヘイルは、チョン・ジウ監督の新作『ウンギョ』に出演するため頭を丸刈りにしたという。

 監督賞は『不当取引』のリュ・スンワン監督に贈られた。映画制作のため海外に滞在中のリュ監督は、妻のカン・ヘジョンさんを通じ「10年前の感激を再びよみがえらせていただいたことに感謝します。世の中の全ての不当取引に反対します」とコメントした。リュ監督は10年前、『ダイ・バッド~死ぬか,もしくは悪(ワル)になるか~』で青龍賞新人監督賞を受賞している。

 そうそうたる演技派俳優たちがしのぎを削った助演男優賞は、『最終兵器 弓』のリュ・スンリョンが、助演女優賞は『あなたを愛しています』のキム・スミが受賞した。今年60歳のキム・スミは「後輩たちは賞をいただくチャンスがまだまだたくさんありますが、私にはあまりありません。(自分が)年なので苦労しているメークさん(メーキャップ担当者)と、夜遅く家に帰っても1人でちゃんとご飯を食べて待っていてくれる夫に感謝します」とあいさつし、客席を笑わせた。

 「今年の発見」賞は『Bleak Night』に贈られた。同作品のユン・ソンヒョン監督は新人監督賞、主演のイ・ジェフンは新人男優賞に輝いた。先の大鐘賞でも映画評論家協会新人賞を受賞したイ・ジェフンは、これで今年の新人男優賞3冠王に輝いた。「演技がうまいからいただけたのではなく、『今後どうなるか見てやろう』という意味で頂いた賞だと思います。うぬぼれず死に物狂いで演技に励みます」とあいさつした。一方、新人女優賞は『最終兵器 弓』のムン・チェウォンに贈られ「これからもいろいろな役に挑戦したいです」とあいさつした。

 以下はその他の受賞者・受賞作品。

▲脚本賞=パク・フンジョン『不当取引』 ▲撮影賞=キム・ウヒョン『高地戦』 ▲照明賞=ファン・スンウク『黄海』 ▲技術賞=オ・セヒョン『最終兵器 弓』 ▲音楽賞=モグ『るつぼ』 ▲美術賞=リュ・ソンヒ『高地戦』 ▲韓国映画最多観客賞=『最終兵器 弓』745万人 ▲人気スター賞=コ・ス、コン・ユ、チェ・ガンヒ、キム・ヘス ▲短編映画賞=ヤン・ヒョジュ『壊れた夜』

■青龍映画賞とは

 1963年に朝鮮日報の主催で始まった映画賞で、韓国最高の権威を持つ賞とされている。73年に一時廃止されたが、17年後の90年にスポーツ朝鮮が主催、本紙などが後援する形で復活した。青龍映画賞各部門のノミネートは、映画制作会社、映画投資・配給会社、映画PR会社、広告デザイン会社関係者や現役の監督ら映画関係者約500人のアンケート調査と、ネット投票を総合して選定される。執行委員会の推薦を受けた9人からなる審査委員会が、最終的に受賞作品・受賞者を決定する。

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