写真=キム・ジョンウク記者

 映画『ただあなただけ』はソ・ジソブらしい映画だ。ラブストーリーもアクションもソ・ジソブ式にならっている。

 ソ・ジソブに尋ねた。ファンたちはなぜソ・ジソブに熱狂するのか。「これまで僕が演じてきた役が皆さんに『信頼できる人』という印象を与えているようです」。この映画もソ・ジソブが答えた通り、これまでソ・ジソブが演じてきた役柄を踏襲している。わずかな疑いが入るすきもない完ぺきな愛、そして、その愛を守ろうとする男のずっしりとした信頼感だ。

 12日にソウル市鍾路区のカフェで会ったソ・ジソブは、この映画を次のよう表現した。「1人で演じるノワール、一緒に演じるラブストーリーです」。

 この映画は、少女漫画から飛び出したように純粋な視覚障害者のヒロイン、ハ・ジョンファ(ハン・ヒョジュ)と、彼女を守るために一度は外したボクシンググローブを再び手にする男、チャン・チョルミン(ソ・ジソブ)の物語だ。ボクシンググローブは二人にとって希望であると同時に、絶望でもある。お互いを引き離す絶望の中でも、チョルミンを最後まで求め続けるジョンファの物語は、時間を過去に戻すことができないがゆえに重苦しいが、それでも観客たちに幸福感を与える。

 ソ・ジソブはこの映画でストーリーの大きな軸2本を担う。女優ハン・ヒョジュとのラブシーンも重要だが、アクションシーンも欠かせない存在なのだ。両方とも苦労した点では同じだ。アクションは何度も演じてきたが「できるうちにやっておこう」と思っているだけに、すべて真剣に取り組んだ。露出シーンで「完ぺきではない」姿を見せたのもこうした影響があった。

 「もともとは脱いで背中だけを見せるはずでした。それも一度だけ。だから背中の筋肉を中心に鍛えました。ところが『ひょっとするかもしれないから』と前も撮ろうって言われて。でも、それが全部映像に入っていました。照明のおかげで思ったよりよく撮れていましたが、トレーニング経験のある方々には分かってしまうと思います。鍛え方が不十分なことが。撮影期間中は体を鍛えられないので、時間がある時を中心にやっていたんです」

 会ったことのないハン・ヒョジュとのラブシーンはもっと苦労した。ソ・ジソブはこの作品で映画としては初めてのラブシーンに挑んだ。ドラマとは違う撮影現場の雰囲気で、ソ・ジソブが一番苦労したのは気持ちを持続することだった。

 「映画はワンカットだけ撮って、別のカットを撮るでしょ。前のシーンを考えてつなげて撮るには力がいるんです。僕は気持ちをつなぐのに時間がかかるタイプなので、一度気持ちをキープしようとすると、時間がかかって力尽きてしまうほどでした」

 そのように丹念にチョルミンの気持ちの中に入っていったソ・ジソブは「釜山(国際映画祭)で、(完成した作品を)初めて見ましたがが、撮っていた時のことが思い出されてグッと来ることが多かったです」と話した。映画館を出る時「ありふれたラブストーリーなのになぜ胸が痛むんだろう」という評価を「最高の賛辞」と表現したのもそのためだ。観客の「頭」ではなく「心」を動かしたことに喜んだのだ。

 「愛について、その震えるような思いについて、アナログ式の愛をあらためて思い起こさせたかったんです。愛に正解はありませんが『このように美しい愛もあるんだな』という気持ちを温かく伝えたいと思いました。個人的に驚いたのは、30-40代の男性でも泣いている方が多かったということです。心を揺さぶられる部分があったのでしょう」

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