スターインタビュー
インタビュー:チソン「『ロイヤルファミリー』では『インスクの横にいるだけで幸せ』だった」
森村誠一のベストセラー小説『人間の証明』を原作にアレンジを加えてドラマ化した『ロイヤルファミリー』。韓国最高の名家「JK一族」をめぐりさまざまな事件が繰り広げられ、チソンは愛する人インスク(ヨム・ジョンア)を守るためキャリアを捨てて敵の懐へ飛び込むスター検事ジフンを熱演。そんなチソンが熱く語った。
―『ロイヤルファミリー』へ出演の決め手になったのはどこだったのでしょうか。
「ハン・ジフンのキャラクターです。一人の女性のために盲目的な愛をささげるハン・ジフンのキャラクターに魅力を感じこの作品に関心を抱いたのと、作品もよくあるストーリーではなく、新鮮な感じがしてこの作品の出演を決めました」
―ハン・ジフンは原作にはないキャラクターでしたが、役作りはどのようにされましたか。
「ジフンはオリジナルのキャラクターでしたので、物語の中でどんなポジションであるべきか、どんなスタイルで演技をするべきか、かなり考えましたね。考えた末、まず序盤ではクールな感じを持たせてみました。髪型もツンと立たせてみたり(笑)。
また、ジフンは検事ですが、どちらかというとチンピラのような荒っぽさもあって、スター性を感じさせるような検事にしたいと提案しました。そうすることで、孤児だけど暗いわけではなく、インスクのおかげで前向きに明るく生きられているという部分を表現できると思ったんです。孤児だからどこか足りない、という印象でなく、インスクさえいてくれれば足りないものはないといったように意識して、コミカルな演技を取り込んだり、重苦しくならないように考えました」
―さまざまな事情や秘密が次第に明らかになっていき、ジフンが翻弄(ほんろう)されるわけですが、あらかじめそのあたりの筋はわかっていて演じたのでしょうか。
「いいえ、そうではないんです。台本が出てくるにつれ、次第に明らかになっていきながら撮影をしました。視聴者の皆さんより少し早く(笑)。あらかじめ先を知って演技するのもいいのですが、わからず演技する方が、むしろより良くなることもあります。この作品もそうだったと思います」
―前半は財閥のファミリーから虐げられる恩人のインスクを守るために奔走するまっすぐなジフンですが、後半は猜疑(さいぎ)心もあったり、インスクへの思いも変わったか、と思わせるところもありましたが。
「インスクに対する気持ち、愛の部分については、ジフンには固い変わらない心があったんです。インスクに対する信頼感もありますし、信じる心、信頼感というのが大事だった。二人の出会いから成長していく長い期間の過程の中で信頼感というのは揺れなかったと思います。なので、インスクが殺人者だと追い込まれる時も、証拠も状況もそうだと示してもジフンはそうは思わない。そうじゃない、と証拠を探し回るんですが、それは自らが『違う』と願ったように思うんです。そして、たとえ殺人者だったとしても、たぶん、そうじゃないようにしてあげようと努力したと思います。それがジフンの正直な気持ちだし、もしかしたら、それがハン・ジフンが、善と悪のさまざまなことにぶつかる部分で難しかったところでしょうか」
―状況も次第に変化し、難しい演技を要求されたのですよね。感情の変化や、視聴者をあれっ?と思わせるような演技で苦労されたのでは。
「毎回、新しい内容があり、事件も展開し、少し少しずつ進んでいくので、演技に変化を出していく、表現するのは実は簡単ではなかったんです。前もって計算して、想定していかないといけないのか、今感じたまま本能的にいくのがいいのか、どちらがいいのかはわからないんです。そういう揺れ動く部分、心境の変化など視聴者を驚かし、緊張感を作る部分の演技は簡単にはいかないですね。また、素材が重たく、事件についての手掛かり、事件を解決していくという展開ですので、決して演技が簡単ではなかったのは事実です。全出演陣、スタッフが、大事なディテールを描くために努力し、心血を注いで撮影をしました」
―インスクへの思いは恩人として信頼している大切な人、姉か母のよう、女性としても?とそれらがないまぜになったような微妙なところで表現されていましたが、一番、どこを意識しながら演技をされたのでしょうか。
「インスクが、ジフンを育ててくれました。人間に対しての愛、母親のような母性愛など、いろんな感情を教えてくれて、少し反抗的な気質を持っていて、道をはずれそうな子を正しい道に導いてくれました。ジフンが司法試験に合格して検事になったのも成功と野望のためではなく、インスクにほめられたい、喜んでもらいたい、幸せにしたいという気持ちで誠実に一生懸命生きたんです。そうしてジフンも大人になりました。そこで、また違う感情を得たくなったと思うんです。恋人のような愛、男として見られたい、って。何で俺はダメ?など冗談っぽく言ったりしますが、実際は実らない愛だとお互い知っていながらも、盲目的に愛します。『この女性を守ってあげることが愛の終わり』だと言ってもいますが、『インスクの横にいるだけで俺は幸せだ』という気持ちで撮影しました」
―強いのか弱いのか、悪い人かいい人か、ミステリアスなインスクを演じたヨム・ジョンアさんとの演技はからみやすかったですか。苦労した点はありましたか。
「難しかった部分はなく、息もすごく合いました。実際も年上でもありますし、ヨム・ジョンアさんは私生活では家庭の2人のお子さんの母親です。本当に楽に本当の姉のようでした。実際、撮影が終わってからも時々近況を伝えながら、家に遊びにおいでと誘ってくださいます。『来て、アジュンマ達にサインもして行くように』なんて、冗談も言う仲になりました」
―ヨム・ジョンアさん、キム・ヨンエさんら共演者が年上の女性が多く、若い人はチャ・イェリョンさんぐらいでしたか、苦労はありましたか。
「キム・ヨンエ先生は凄いカリスマを持ってらっしゃいますし、私たちのドラマの大事な中心軸でした。実際ご一緒にして、具体的にどういう助けをもらったというよりも、先生と一緒に演技をしながら、感情の交感の部分でより真実味が出せ、深みのある演技が自分も出来たと思います。そういう点で本当に先生に感謝しています。チャ・イェリョンさんとは、初めて演技をしたんですが、本当にいい俳優だと思いました。イェリョンさんはみんなが先輩なので、気が重くて大変だっただろうに、役のキャラクターをしっかり演じていました。もう一度一緒に演技をしてみたいと思う女優です」
―そんな女優陣とのエピソードがあれば教えて下さい。
「僕がインスクを思う気持ちからキム・ヨンエさんにはむかう場面があるんですよ。そういうシーンを撮るときは本当に痛快でした。本当に得意気に演じました。演技でも、演技じゃなくても、絶対はむかえない会長に大胆に挑んだのは、本当に演技をしながら痛快でした」
―『ロイヤルファミリー』に続き、まったく雰囲気の違う『ボスを守れ』に出演されましたが、ここではどんなチソンさんが見られますか。
「ロマンチックコメディーなんです。僕は、お笑いはコメディアンの方たちものだと思っていて、自分には笑わせる演技が本当に難しいんです(笑)。それでも、『ボスを守れ』のチャ・ジヒョンのような役を前からやってみたいと思ってたんです。『ロイヤルファミリー』が終わる前に、『ボスを守れ』のお話をいただいて、準備期間があまりなく、すぐに挑戦するのもどうかと迷いましたが、キャラクターが魅力的で決めました。明るくて愉快なキャラクターを新しくお見せしたくて。『ロイヤルファミリー』とは全然違う雰囲気なんですが、気楽に見て、笑ってもらえればと思います」
―今はお休みもないかと思いますが『ロイヤルファミリー』と『ボスを守れ』の間になどプライベートで楽しんだことはありますか。
「一カ月ぐらいの余裕があったので、ローマ、フィレンチェ、パリなどに自由旅行に行ってきました。フィレンチェ、パリではその都市を一人で自転車に乗って周ったりしました。『ロイヤルファミリー』の魂を消すのはとても残念に思ったのですが、新しい作品を準備しないといけないので、心を空にするということをしてきました。旅行を通して、また違う新しい心の準備をして帰ってきて、新しい『ボスを守れ』のキャラクターに没頭して楽しく撮影に臨めました」
チソンはひとつひとつ、じっくり考えてていねいに詳しく話してくれる。そんな真面目で演技へのひたむきな思いがしっかり伝わるインタビューだった。
『ロイヤルファミリー』Vol.1~4はTSUTAYAでのみレンタル中、5~9は21日よりレンタル開始。11月25日にはTSUTAYAオリジナルコンプリートDVD-BOX(発・販売元:カルチュア・パブリッシャーズ)およびDVD-BOX1&2(発売元:カルチュア・パブリッシャーズ 販売元:SPO)がリリースされる。