見ている人を笑顔にしてしまう、あの「キラースマイル」がテレビ画面に映った瞬間、俳優キム・ジェウォン(30)が戻ってきたことを実感した。

 今年初めに除隊、MBCの週末ドラマ『私の心が聞こえる?』で芸能界に復帰し「兵役のブランクがあったのか」というくらいお茶の間の話題を一気にさらった。俳優としての自分の魅力をよく理解している演技は、あらためて視聴者の心にキム・ジェウォンの存在を刻みつけた。

 除隊後の復帰作『私の心が聞こえる?』は最終回まであとわずかだが、撮影終盤で多忙な中でも余裕を失っていない。いつのまにかデビュー10年。「今はトキメキよりも家族のような心地よさをあげられる俳優になりたい」という。雨の日に差し出された温かい1杯のお茶のようなインタビューだった。

 「ドラマがハッピーエンドになればいいですね。家族の大切さや家族愛の温かさがうまく伝われば…。ほかのドラマにも同じようなテーマがあるでしょうが、このドラマは家族に関する内容が盛り込まれていますからね。聴覚障害者になるドンジュを通じ、心の痛みや喜び、悲しみがすっきりと収まればと思います」



 キム・ジェウォンが除隊後初めて演じたのは、聴覚障害を抱えているものの、これを周囲の人々に徹底して隠し続けなければならない日々を過ごすチャ・ドンジュという役。聴覚障害を視聴者に分かりやすく表現するのには、並々ならぬ苦労があった。

 「撮影するときは顔を見ず、唇だけ見るんです。その人の表情自体がどうかは分かりません。また、どんな話をいつ始めるか分からないから、いつも神経を集中させていなければなりません。視線をほかに移すわけにいかないので、目がすごく痛くなります。それでもドラマの後半になって聴覚障害であることを公表したので、少しは楽になりました。障害を隠しているときは不安で、おどおどしていました。聴覚障害があるという設定なので、やはり動線というか表現が限られ、制約があったんです。率直に告白し、理解してもらってからは、演技をしていてもとても気持ちが楽になりました」

 今回のドラマで、キム・ジェウォンは兵役期間中のブランクをしっかり埋めるのに成功した。特に、温かい家族愛を描くストーリーと、心の傷があっても屈せずに克服していく前向きな役柄は、まさにうってつけだった。

 目標は「キム・ジェウォンが出ているドラマ・映画を家族全員で見てもらえる作品にする」ことだ。

 「キム・ジェウォンが出る映画が公開されたら、家族全員で見られる作品というか、『今度はお父さんと見なきゃ』『お母さんと見よう』というように、自分の周りの大切な人々のことを思い起こすような作品にしたいですね」

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