映画
今夏公開韓国映画は大作目白押し
夏の大作映画ラッシュを前に、「水面下の闘い」が繰り広げられている。どれも避けられない闘いということで、神経戦は必至だ。
決戦の火ぶたは、公開日がほぼ同じ『クイック』と『高地戦』で切られる。この両作品はストーリーの性格が全く違うが、100億ウォン(約7億5000万円)台の制作コストがかかっている大作という点では同じ。それを意識してか、『高地戦』はこのほど公開日を一日繰り上げ、20日に封切られることになった。『クイック』と『高地戦』はもともと同じ21日に公開されることになっていた。『高地戦』の配給会社ショーボックスは「完成作に対する評価・反応がいいので、少しでも早く封切りしたいと思った」と説明する。たった1日早まっただけだが、『高地戦』側はクチコミによる先制攻撃を仕掛けたと見ることもできる。一日差で広がる『高地戦』のクチコミで『クイック』の勢いをそごうというのだ。
『高地戦』のある関係者は「今年上半期は『朝鮮名探偵:トリカブトの秘密』『サニー』などがヒットしたことでコメディーが人気だったが、そろそろそろ人気も落ち着いてきた。固い内容の『高地戦』が突破の皮切りになるだろう」と自信をのぞかせた。一方、大衆的なコミカルさやスピード感を武器にした『クイック』は「夏は映画客も暑さを吹き飛ばすような痛快な面白さやスピード感を求めている」という考えだ。
こうした中、この2作品を脅かすのが3D大作『第7鉱区』だ。「観客1000万人動員女優」ハ・ジウォン主演の『第7鉱区』は、『クイック』と同じJKフィルムの作品だが、8月4日封切り予定で、わずか2週間違いの公開となる。このため、三つどもえ戦は避けられない。『クイック』でヒロインを演じたカン・イェウォンは試写会で「ハ・ジウォン先輩はわたしたちとは比べものにならないほど素晴らしいですが、興行成績では先輩でも遠慮しません」と挑戦状をたたきつけた。
また、夏の韓国映画の大作で最も公開が遅い制作費90億ウォン(約6億7000万円)の『最終兵器 弓』はこのほど、公開日を8月11日に決めた。『最終兵器 弓』もロッテ・エンターテインメントが配給する作品で最も大作だけに、興行成績が気になるところだ。「100億ウォン大作トリオ」よりも一足遅れで公開することで、真っ向対決は避けた形だ。
28日に封切られるアニメ映画『庭を出ためんどり』も韓国アニメとしては異例の「大作」。制作コストは30億ウォン(約2億2000万円)台、損益分岐点は150万人だ。数々の大作がぶつかり合う中、アニメ大作が目標を達成できるかどうか、注目される。
激しい闘いを繰り広げている作品で「二またをかけてる」俳優はどちらか一方を応援するわけにもいかず、つらそうだ。俳優コ・チャンソクは『クイック』と『高地戦』の両方にカギを握る役で出演しており、リュ・スンリョンも『高地戦』と『最終兵器 弓』の両方に出ている。『高地戦』では北朝鮮軍、『最終兵器 弓』では清の弓の名人と、2作品とも敵の頭役で出ているのが興味深い。アニメ『庭を出ためんどり』で、カワウソ「タルス」の声を演じた俳優パク・チョルミンも『第7鉱区』に出演している。コ・チャンソクは11日、『高地戦』の試写会で「こっち側に付いたり、あっち側に付いたり、まるで『コウモリ』になったような気分。気が重い」とつらい胸の内を明かした。