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北朝鮮まで1.8キロ、江華平和展望台の魅力とは
観光名所が盛りだくさんの江華島。中でも江華平和展望台は、北朝鮮の平野地帯を見渡すことができる唯一の場所として有名だ。
北朝鮮と1.8キロメートルしか離れていない民間人統制区域にある平和展望台は、以前は軍人が勤務する哨所だった。その後、南北間に平和ムードが広がるにつれ、2008年9月には平和展望台がオープンし、安保観光地として国内外から多くの観光客が訪れるようになった。
ソウルを出発し、江華邑を過ぎると、軍部隊の民間人出入統制線の検問所に差し掛かる。ここで身分証明書を提示すると、軍人から立ち入りに必要なカードを渡される。それを車の窓に付着し、5分ほど走ると展望台が見えてくる。
展望台に入ると、1階には開放された屋外展望台がある。肉眼でも北朝鮮の街並みがかすかに見える。この街が、開城特別市開豊郡だ。
平和展望台の職員カン・チャンハクさんは「今日は海に霧がかかっているため近くの村しか見えないが、天気のいい日には、松岳山の頂上まで見える」と話す。
北朝鮮の様子をもっとよく見るため、3階の展望台に上がった。展望台は大きく、屋内と屋外に分けられ、高性能の望遠鏡で北朝鮮の風景を観察できるようになっている。特に、屋内の展望台には展望施設とともに、曇りの日でも北朝鮮の全景を見渡すことができるよう、映像スクリーンも設置されている。
望遠鏡を通して見る北朝鮮の様子は、韓国の普通の田舎の風景とそっくりだ。自転車に乗っている人々の姿が目につくが、これは開城の住民が、北朝鮮当局の代わりに農業を営み、その代価として受け取ったものだという。
展望台を後にし、2階の展示場へと移動した。ここには韓国戦争(朝鮮戦争)当時の様子と国内外の戦争勃発の過程が写真と映像でつづられている。展示館を観覧していると、戦争当時に使用していた鉄の帽子が目に入った。砲弾を浴びて穴が開いたままさびついた鉄の帽子が、戦争の残酷さと時代の流れを物語っていた。
展示館の見学を終えて1階に下りると「統一念願所」というスローガンの書かれた表札が見える。その下にはメモ用紙を1枚ずつつなぎ合わせて作った紙の木がある。この木には、観覧客が統一への願いを込めて書いたメモがくくり付けられている。
屋外に出ると、展望台の横に「望拝壇(北朝鮮に残してきた家族を懐かしみ、祖先を追慕する祭壇)」と、「懐かしの金剛山」の歌詞が書かれた石碑が、北朝鮮の方向に向かって建っている。ここでは「懐かしの金剛山」の歌が流れ、唯一北朝鮮と韓国の間に流れる静寂を破っている。
展望台の観覧を終え、帰宅する途中、昨年新しくオープンした「江華島歴史博物館」が見えた。この博物館には、江華島-に散在していた全ての遺物が集められ展示されている。
江華島の昔の姿を人形と模型で再現しており、子どもたちにも理解しやすいように展示されている。これらの模型は、青銅器時代、高麗、朝鮮王朝時代、現代までの江華島の歴史を年代順にまとめている。
博物館の観覧を終えると少しおなかがすいてきた。江華邑を通り過ぎる道のあちこちにズワイガニの店があった。普段、あまり食べることのないズワイガニを食べようと、江華邑菊華里にあるズワイガニ専門店を訪れた。
ズワイガニ定食を注文すると、ケジャン(生のカニの醤油付け)、鍋、石焼ご飯が出てきた。おなかにたくさん黄色い卵をつけたズワイガニのケジャンを、石焼ご飯に交ぜて食べてみると、普通のケジャンとは異なり、塩辛くも生臭くもなく、カニ特有のコクのある味わいを楽しめる逸品だった。
チョソン・ドットコム・メディア取材チーム