俳優イ・スンヒョは、その名前よりも『善徳女王』のアルチョンと言ったほうがぴんとくるかもしれない。30歳のイ・スンヒョは、これまで地道に、しかしまっすぐに俳優の道を歩いてきた。『善徳女王』で初めて大きな役を任され、そのドラマが大ヒットした運にも恵まれた。

 羽ばたき始めた彼は、その次の作品に『戦友』を選び、またひとつ、確かな足跡を残した。初のファンミーティングを日本で行うことも決まったイ・スンヒョにインタビューした。

―『戦友』に出演することになった理由は。

 「韓国は大半の俳優が、選ばれる立場です。『戦友』というドラマの機会に恵まれて、俳優たちも監督たちも全員、僕の好きな人だったので迷わず決めました」

―人民軍に親が殺され、深い痛みを持って復讐心に燃える兵士チョン・テス役で、ワイルドな男性美を見せましたが、役作りで大変だったことは。

 「キャラクターがはっきりしていたので、役作りに戸惑うとか、そんなに苦労はしませんでした。むしろ楽でしたね」

―チョン・テスは、いつもけんかを呼ぶ役で、見ながらもちょっとむかつく、とも思いましたが、周囲の反応はどうでしたか。

 「私の役は、反共の性格を持っているキャラクターです。『戦友』は視聴者も年齢が高いのですが、その時代の方は反共的な考え方が残っているから、そんなに私の役を嫌ってはいなかったようです。自分と同世代の人にはよく思われなかったようですが(笑)」

―撮影も大変そうでしたが、『善徳女王』とどちらが大変でしたか。

 「体力的に『戦友』のほうが大変でした。もっと危険でしたし、爆弾が爆発したり、銃を撃つ時、その破片がはねたりして、それがNGになると、再び準備する時間がまた余計にかかったりして大変でした」

―ご自身が実際、早い時期に兵役に行って、しかもJSAで、そんな軍経験が役にたったのでしょうか。

 「その通りです。大いに、役に立ちました(笑)。(兵役は)わたしが早い時期に行ったのではなくて、韓国の男が行くべき適切な時期に行ってきたと思いますよ。人気のある俳優さんが少し遅く行く傾向にあるだけで(笑)」


―体が不自由な演技もありましたが、苦労した点はありましたか。

 「体が動けない演技より、そのことで挫折し、生きている意味を失う感情の演技のほうが難しかったです。ずっと泣かなきゃならなかったから。半身麻痺の演技はそのまま動かなければいいから、そんなに肉体的には難しくなかったです」

―OSTに参加されましたが、歌がお好きだとか。好きな歌手はどなたですか。

 「日本の歌手では、Spitz、サザンオールスターズ、学生時代はJUDY AND MARYが好きでした。韓国の歌手ではK2が好きです」

―『善徳女王』のアルチョン役でブレークしましたが、それまで苦労されたことも多いかと思います。俳優をやめようと思ったことはありませんか。

 「家族はずいぶん心配したようですが、結局家族の思いやりが助けになって続けることができました。自分の気持ちとしては、やめたいと思ったことはないです」

―では、イ・スンヒョの魅力、自信のあるところはどこでしょうか。

 「どんな場合でも、どんな人とでも一緒にうまくやっていける、という自信があるところ?そしてきっちりしている性格じゃないかと思います(笑)」

―お休みの日には何をするのが好きですか。

 「映画や音楽鑑賞、読書などが好きです」

―日本にも興味があると聞いています。サザンオールスターズのコンサートにも行ったとか。

 「何度も日本に旅行に行って、観光、ショッピング、食事などいろいろ楽しみました。正直なところ、まだ近くて遠い国という印象もあります。近くて近い国、としっかり言えるように日本をもっと知りたいと思っています」

 イ・スンヒョは10月24日午後3時、東京・渋谷C.C.Lemonホールにて「イ・スンヒョ 1st ファンミーティング in Tokyo」を開催する。

 トーク&コンサート、アルチョンの衣装でのフォトセッションや名シーン再現などのほか、ハグあり握手会などが予定されているとのこと。今回の来日での日本ファンとの触れ合いを通じて、日本との距離を縮められることを楽しみにしているのは間違いない。

ソウル=野崎友子通信員

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