金属の中でも、最も優れた光沢を持つ銀。金に比べれば、贈り物や宝石としての評価は低いが、韓国人は昔から、銀に対し格別の愛着を抱いてきた。さまざまな装身具を作ったり、箸やスプーンを作ったりし、また結婚祝いの品としても喜ばれてきた。もちろん、王族は銀よりも金を好んだが、工芸品や美術品としての活用度は、銀の方がはるかに高かった。
 宮中では、銀に彫刻を施す技術者たちを「彫り物屋」と呼んで蔑んだが、精製が難しい銀を扱う技術者には、さまざまな知識や経験が求められた。銀の彫刻の方法としては、「平刻」「透刻」「高刻」「肉刻」「象嵌入糸」などがあった。平面にさまざまな模様を刻む「平刻」は、「陰刻」とも呼ばれる。「透刻」は、下地の模様に沿って、不必要な部分をのみで彫ったり、削ったりする方法だ。そして、最も難しいという「肉刻」は、彫刻を施す素材の両面をたたいたり、へこませたりして模様を作り出す。「彫り物屋」たちはまた、銀に模様を彫るだけでなく、銀の型を使って模様を張り付けた薄い版を、別の金属板に当てるという方法で、世界でも韓国にしかない伝統芸術を編み出した。あらゆる伝統工芸がそうであるように、100%手で作業しなければならないため、彼らには想像を絶するほどの忍耐と「匠の精神」が求められることは、言うまでもないだろう。しかし、男性の力と女性の繊細さが同時に求められる銀工芸は、後継者がほかの伝統工芸に比べ非常に少ないという。だが幸いにも、伝統的な手法で作られた銀工芸品は最近、多くの人々から愛されている。人気が高いのは、プレゼント用の銀工芸品や、イヤリング、ネックレスなどのアクセサリー、銀の箸やスプーン、盆などの生活用品などだが、銀製の宝石箱やかんざし、指輪など、一味違った品物を探してみるのもおすすめだ。

アウォン工房

 ソウル・仁寺洞で30年近くにわたり、貴金属製の装身具、生活用品、芸術作品などを製作・販売してきた「アウォン工房」。7人姉妹のうち6人で運営しており、その一人ひとりが、職人、売り子、宣伝、店のマネージャーなどといった役割を担っている。店内に入ると、決して見栄えが良いとはいえない金属の塊が、モビール(動く彫刻)やお椀、皿、花瓶などに生まれ変わっていく様子をじっくり観察できる。


*住所: ソウル市鐘路区寛勲洞38番地
*時間: 10時30分-21時 休 年中無休
*Tel: 82-2-734-3482

文_ キム・スン 写真_ チェ・ヨンデ 撮影協力_ アウォン工房

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