大ヒットドラマ『善徳女王』のピダム役を演じて大ブレーク、現在撮影中の新ドラマ『悪い男』(邦題:『赤と黒』)で主演を務めているキム・ナムギル。チャリティーイベント出演のために、日本を訪れたキム・ナムギルにインタビューした。

スリムで精悍(せいかん)な姿と少年のようなかわいらしさが共存するその姿。そこにいるのは「ピダム」そのものだった。そして話をすればするほど、俳優としての成長を感じさせながらも、親しみやすい人柄がにじみ出て、楽しませてくれる人物だった。

―自身が『善徳女王』のピダムに似ている、とおっしゃっていますが、どういう点が似ているのでしょうか。

「すべての面において、です。ピダムはいたずら好き、人好き、天真爛漫、正直…愛に対する表現方法なども似てますね(笑)」



―このドラマの中では非常に個性的なキャラとして登場し、ウインクをするシーンもありましたが、その演出は誰のアイデアでしょうか。

「ウインクは、監督のアイデアでした。この時はまだ男装していたトンマンで自分も男だと思っていた状態でしたが、本来の女性となるトンマンとの将来を暗示する意味合いを込めたシーンでした。それ以外は、演技はやりたいように、自由にやれるように監督が配慮してくれました」

―ピダムは、これまで描かれたことのないキャラでしたが、そういう意味で苦労したことはありますか。

「どこまで自由奔放な姿を見せるか、その案配がポイントでした。ピダムというキャラは視聴者にとって新鮮な反面、拒否感を起こす恐れもあったからです。新しいキャラクター像を、いかに視聴者に受け入れられるようにするか、そのライン作りに苦労しました」

―とてもスリムですが、『善徳女王』前に14キロも体重を落とされたとか。

「『善徳女王』の前に映画『暴風前夜』を撮っていたのですが、それがエイズにかかった男の役で、そのために、すでにやせていたんです。そして『善徳女王』に入る時に、そのままのシャープなイメージがピダムに合っている、ということでやせたままでやることにしました」



―落馬事故など、撮影では大変なことが多かったようですが。

「落馬してけがしたことで、自分がやるべきシーンができなくなって、ほかの俳優さんにシーンを振り替えなければならなかったりと迷惑をかけたり、作品の完成度が落ちることが一番つらかったです。病院で、体は休めましたが、気持ちはむしろ治まらず大変つらかったです」

―そんな苦労した撮影で、一番思い出に残るシーンはどこでしょうか。

「やはり、最終回です。感情は激しく高ぶって、極限まで達していて、肉体も極限状態。体力は枯渇しているけれど、感情はマックスに達していました。この時の苦しさは、それまでの熱かったり寒かったりなどの苦労とは比べものにならないものでした」




東京=野崎友子通信員

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