トラベル
ドラマ『チュノ』のロケ地をめぐる旅(上)
朝鮮時代の「奴婢(使用人)」を題材にしたアクション時代劇『チュノ~推奴~』(KBS第2)。最近、多くの視聴者は、主人公が繰り広げる物語よりも、その舞台となっている美しい風景に目を奪われている。同ドラマのロケ地を選んだユン・ジョンフン・ディレクターに、一番記憶に残る場所について聞いてみた。今回は、ユン・ディレクターが選ぶロケ地ベスト5として、全羅南道海南郡の兜率庵、コチョンアム湖のススキ林、 求禮郡の四聖庵、忠清南道泰安の波濤里海水浴場、京畿道道抱川のピドゥルギナンを紹介する。
■地の果てで出会う空の果て=海南郡・兜率庵
ドラマの前半で、 左議政のイ・ギョンシク(キム・ウンス)は、奴婢を追うイ・デギル(チャン・ヒョク)に巨額の金を渡し、 ある奴婢を追跡してほしいと頼む。その人物とは、朝鮮最高の武将だったが、後に奴婢となって脱出したソン・テハ(オ・ジホ)。追いつ追われつの最初の旅で、デギルの一行が庵にテハを追いつめるシーンを撮影した場所が、全羅南道海南郡達摩山の兜率庵だ。
達摩山は海南郡の南側にある高い岩山だ。低い丘が多く連なり、穏やかなイメージが強い海南郡で、この高い岩山は神秘的な雰囲気を放つ。
3月12日に訪れた海南郡は、春雨にしっとり濡れており、海抜400メートルの高地にある兜率庵に向かう道にはみぞれが冷たく降っていた。そのため視野が悪く、山の岩肌はほとんど見えなかった。稜線に沿って30分ほど歩くと、遠くの方に、雲の上に浮かぶような兜率庵が見えた。そこに吹く風はまるで波のようだった。音を立てながら流れる風の海の中で、捕まりそうで捕まらないテハのように、みぞれの向こうにそびえ立つ岩がかすかに見えた。
■岩に似る=求禮郡・四聖庵
デギルの一行による追撃シーンは全羅南道海南郡の達摩山で撮影されたが、そのシーンに出てくる庵は、海南郡から車で4時間近く離れた全羅南道求禮郡にある。その庵が四聖庵だ。ドラマの中で「ヨウン庵」と呼ばれているこの庵は、百済時代に建てられたものだという。長い歳月により風化された庵は、まるで岩のように見える。薬師殿は岩をくり抜いたもう一つの岩ように見え、大雄殿は岩の上に優雅に座っているようだ。
街路灯や提灯を見ると、ドラマの中に出てくる庵とは様子が違うため、ドラマのシーンはコンピューターグラフィックス(CG)で処理したのかと思っていたが、実際は許可を得て、すべて取り外してから撮影を行ったということだ。