映画
ウォンビン、5年ぶりの訪日で『母なる証明』記者会見
27日午後、都内ホテルにて、31日よりロードショー公開される映画『母なる証明』のポン・ジュノ監督と、主演のキム・ヘジャ、ウォンビンの3人が記者会見を行った。キム・ヘジャは初の、またウォンビンは5年ぶりの公式訪日だ。
「四天王」として韓流を早くからけん引してきたウォンビンだが、兵役やけがのため、4年近くのブランクを経ての復帰作がこの映画とあって、国内外で早くから注目を集めていた。
そんなプレッシャーの中、『グエムル-漢江の怪物-』などで国際的にも高い評価を得ているポン・ジュノ監督と「韓国最高のお母さん女優」といわれるキム・ヘジャとで見事な「母と息子」の映画を作りあげた。
キム・ヘジャは「ウォンビンは、私の愛する後輩であり、劇中では私の息子を演じてくれた。外見も愛らしいが、愛すべき人」とあいさつ。ウォンビンは「久しぶりなので緊張しているが、胸がときめく思い。何よりも気分がいいのはポン・ジュノ監督とキム・ヘジャ先生と一緒にごあいさつできること。多くの方に関心を持っていただき記憶の中に残る作品になってほしいと思う」と語った。
ポン監督は「俳優、スタッフとも息がピッタリだった。全国各地を周り撮影していたが、カメラが回っているときは、極度の緊張感につつまれて、エネルギーが爆発するが、毎日新しい旅に出るように楽しく、各地のおいしいものを食べながら、そんな雰囲気の中撮影していた」と現場の雰囲気を伝えた。
「『母なる証明』の出発点は、キム・ヘジャだった。キム・ヘジャは、韓国の母の代名詞、母を象徴する存在。映画を一緒の撮るにはどのようなストーリー、内容の映画を作ったらいいのかを考えたが、キム・ヘジャ=母をテーマにすることだっ」と映画製作のきっかけを語った。
さらに、「極限まで追い詰めてみようということになったがそれには息子役としてウォンビンが必要だった。ストーリーの構想は、2004年の『グムエル‐漢江の怪物‐』の撮影中からあり、2005年にキム・ヘジャさんに口頭であらすじを伝えたが、断られたらどうしようと思っていたが、気に入ってもらえてうれしかった」とその経緯を明かした。
キム・ヘジャは演じた「母」の愛情というものについて「無条件の愛だと思う。世の中には、母なくして生まれた人はいない。母親とはどんな存在なのかということを描いたドラマだと思うし、それを忠実に表現するように心掛けて演じた」と語った。
そして、「5年前に監督からあらすじを聞いて、その間ずっとどういう母であるかを聞かされていたので、監督の撮りたいものがわかっていたし、自分の中で母親像に親近感が沸いていた。この映画の母は、人間の母というより血を流しているような獣の母のような思い。なんとしてでも子どもを守り壮絶に戦う、そんな母親の姿であると解釈した。撮影時は、光が一筋も入らない暗闇に置かれているような、そんな気分で撮影していた。しかし、夜は毎日監督と何を食べにいこうかと、夜だけは気分を変えるようにしていた」と自身の役柄への取り組みについて吐露した。
ウォンビンは、「子供の心を持った純粋な青年」役を演じたことについて「自分にとって難しい点であると同時に演じる上での楽しい点の1つでもあったが、トジュンという役は、純粋な部分も持っているが、うわべだけの純粋にこだわるのではなく、彼の内面から出てくる純粋さは、何だろうと考え演じた。どうしたらトジュンがここまで母を動かせるか、常に母を不安にさせる子どもを演じた」と語った。
映画冒頭の「母」のダンスシーンについてポン監督は、「真っ昼間の野原にたたずんで感じられたこと、映画をイメージしてキム・ヘジャに即興で踊ってもらった。踊りの動作よりも、目は泣き、口元は笑っているという狂気を感じさせるようなうつろな表情が映画全体のストーリーを予告させるものとなっている」と語り、「実は、1人で踊るのは恥ずかしいということでカメラの後ろでは全スタッフや監督も踊っている」とその裏側も明かした。
監督については、キム・ヘジャは「撮影では、挫折感も味わったり、恨めしく思うこともありましたが、過ぎてしまえば、今は現場が恋しい。監督は頑固な人でしたが、俳優に新しい服を着させてくれたような、そんな人ではないかと感謝している」とし、ウォンビンは「監督に対して驚きを感じた。難しいシーンの時もリハーサルのように気楽に演じられるように仕向けてくれた。監督には驚くことばかりだった」との所感を述べた。
母が、殺人事件の容疑者となった息子の無実をはらそうと全力で奔走する映画『母なる証明』(配給:ビターズ・エンド)は31日より、シネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国ロードショー。
東京=野崎友子通信員