5月11日に忠清南道燕岐郡にオープンした「ベアツリー・パーク」を歩きながら、不思議なほどの美しさに驚きの声を上げずにはいられなかった。この樹木園の主人が大きな愛情を注いでいることがよく分かる。広い樹木園のどこに行っても、手入れされていないところが見つからない。ここはLGグループの顧問を務めたイ・ジェヨンさん夫妻が45年間手入れしてきた樹木園だ。イ・ジェヨンさんは「45年間、週末ごとにここに来て、弱っている木があったら薬をやり、乾いているようだったら水を与えているうちに美しい自然に育った。わたしたち夫婦だけで楽しむには規模があまりにも大きくなってしまったため、一般に公開することにした」と話す。

 樹木園とはいうが、遊園地のような雰囲気だ。入り口にある「ゲストハウス」からして遊園地でよく見かけるデザインだ。遊園地の水準ではないが、ベアツリー・パークはほかの樹木園とは違い、草木や花以外に動物もたくさんいる。家族連れにはぴったりの場所だ。

 ゲストハウスを通り過ぎると、一番最初に目につくのは「五色池」。この池には500匹ものニシキゴイが泳いでいる。ニシキゴイは赤・黄・黒の色が交ざり合い、どんな色合いや模様を作り出しているかで美醜が決まる。ニシキゴイは金魚や熱帯魚とは違い、横からではなく上から鑑賞するため、池をできるだけ低いところに作り、その上に橋をかけた。

 五色池を通り過ぎると、案内センターや食堂などがあるウェルカムハウスの裏に「ベアツリー庭園」が見える。この庭園にはオレンジ・赤・黄・ピンクの花たちが幾何学的な模様に植えられている。庭園を横切り丘に上ると、ツキノワグマやクジャク、オシドリなどがいるミニ動物園がある。生後3カ月の赤ちゃんツキノワグマのヨンちゃん、カンちゃん、サンちゃんが大人気だ。見学に訪れた幼稚園児たちは飼育員に抱かれた赤ちゃんツキノワグマを見ると、大喜びで何度もなでていくという。

 ミニ動物園の裏にはツキノワグマたちが暮らす「ツキノワグマの丘」がある。ここで暮らすツキノワグマは150頭に及ぶ。イさんが知人からプレゼントされたというツキノワグマが繁殖し、自然にここまで増えたという。ここのツキノワグマはまったく人間を怖がらず、威嚇もしない。ここのクマたちの頭の中には「人間=食べ物」という公式が成り立っているようだ。人間が柵に近づいてくると、下の方に集まってくる。関係者は「飼育員が顔を出すたびにエサがもらえるため、人間を見ると食べ物がもらえると学習したようだ」と説明した。1袋1000ウォン(約77円)のニンジンを投げると、直接キャッチすることはできなかったが、地面に落ちたものをすぐに拾って食べていた。

 ツキノワグマの丘を過ぎると「野花の丘」があり、ここから本格的な樹木園に入る。韓国の山や野に咲く野花が集まった散策路だ。ここを通り過ぎて少し上に上がると展望台がある。この樹木園で1番高いところだ。ここからの見晴らしは最高。丘から降りてツキノワグマの丘を右手に見ながら進むと、「クマ彫刻公園」と「 松坡亭」を過ぎたところに約3300平方メートルもの広さを誇る「熱帯植物園」がある。ハスの花が咲き乱れる「水連園」。紫色の花が咲き始めたハナショウブの間を散歩できる「アイリス園」、そして「盆栽園」を通り過ぎると「万景秘園」がある。

 万景秘園は、「観覧客にここだけは必ず見てほしいところはどこか」という質問に、イさんが迷わず名前を挙げたところだ。入場料と観覧料2000ウォンを別に支払わなければならないのが気になるものの、自動ドアが開くと超現実的な風景が目の前に広がる。中に入ると、ピンクや紫、黄色、白の華やかな洋蘭数百本にぐるりと囲まれる。自動ドアの両側の半円形の壁に段々に置かれた洋蘭の植木鉢数百個が、向かい側の鏡に反射してこのような光景を演出しているのだ。左の出入り口の方向に行くと、ローズマリー、ラベンダーなどのハーブが並んでいる。これらのハーブに触れ、香りを楽しみながら歩いていると、右側に盆栽やコケ、石、木の化石を使って韓国の自然をミニチュアで再現したところがある。まるで小人の国に迷い込んでしまったような気分で韓国の自然を眺めることができる。

 万景秘園を出て「イブキの丘」へと向かう。よく育たないといわれるイブキが空高くそびえ立っている。「自然は心を込めた分だけ恩返ししてくれる」と話すイさん。赤ちゃんツキノワグマをなでていた園児たちが楽しそうにおしゃべりをする声が遠くの方から聞こえてきた。

◆開園時間は5-8月午前9時-午後8時。閉園2時間前まで入場可能。毎月第1・3月曜日、旧正月・旧盆の連休は休園。入場料(4-10月)大人平日9000ウォン(約700円)・週末1万ウォン(約760円)、中高生平日7000ウォン(約550円)・週末8000ウォン(約630円)、子ども6000ウォン(約470円)。万景秘園の入場料2000ウォン(約160円)別途。

キム・ソンユン記

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