30日午後6時30分、ウェルシティ東京で『アンティーク~西洋骨董菓子店~』のジャパンプレミアが開催され、俳優チュ・ジフンとミン・ギュドン監督が舞台あいさつに立った。

 ミン監督は、「この瞬間を、首を長くして待っていた。多くの方がこれほど席を埋め尽くしてくれたのは初めて」と日本での公開に感激の気持ちを表した。

 「原作と出会ったのは8年ぐらい前。『キッチン』のホン・ジヨン監督の勧めで見ることになった。深いテーマがあって、繊細な描写があって、どんでん返しもあって、楽しい映画ができるだろうと思ったが、半面映画化は難しいとも思った」と作品との出会いを語った。

 チュ・ジフンは「ほかの3人と来たかったのだが一人で来て申し訳ない。初めての主演映画で、日本で公開してもらえるということで不思議な気分。たくさんの方に集まってもらってありがとうございます」とあいさつ。


 「初めてシナリオを読んで、興味を持てた。登場人物は心に傷を持っているが平凡な人生を送っている。リアリティを感じた」と出演の経緯に触れ、「ジニョクは場所、相手が変わると接し方も変わる。“アンティーク”では明るいが、トラウマを抱えている人物。しかしそれに集中しすぎると“アンティーク”の中でも出てしまうので、そこではトラウマを表に出さないように気を付けた」と役作りの取り組みを語った。

 エピソードとして、ミン監督は「ケーキは3000ピースぐらい使った。ちょっとしたことでくずれてしまったりして、手がかかった。チュ・ジフンさんが準備できていても、ケーキの準備が出来ていないので申し訳ないが待って、ということもあった」と映画の重要なキャストともいえる「ケーキ」にまつわる話題を披露。

 チュ・ジフンは、「夢の中で生クリームの海におぼれる、というシーンがあって頭の先までクリームに埋もれて苦労して撮影したが、結果的にカットされてしまった」とのエピソードで笑いを誘った。


 また、スペシャルゲストの鎧塚俊彦シェフの手によるスイーツ「ガトーオペラ」が登場し、舞台上で監督が試食するという演出もあった。

 最後に、ミン監督は「きれいなケーキは、ある人にとっては苦いことも。この映画は心に傷を抱えている人がたくさん出てくるが、その傷をなぐさめてあげたいという思いで作った。その気持ちをくみ取ってくれれば、皆が友達になれる。一緒に、友達になろうと手を差し伸べている映画」と語り、チュ・ジフンは「誰もが心の中に傷を持っていると思う。そういう人たちになぐさめを感じてもらえれば」と映画の魅力を語り締めくくった。

 なお、今回のプレミアのチケットは、2000席に対し先行販売のみで倍率10倍の2万件以上の応募が殺到し、チュ・ジフン人気と映画への期待感の高さがあらためて証明された。

 『アンティーク~西洋骨董菓子店~』は4月18日、恵比寿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町1丁目ほか全国順次公開される。



東京=野崎友子通信員

ホーム TOP