ドラマ『一枝梅』でイ・ジュンギは、復讐(ふくしゅう)のために生き、義賊となる「一枝梅」と、明るくのんき気ままな「ヨン」を演じた。この“二人”は明と暗。でも情に厚いところは「ギョム」(幼少名)の時から変わらない。複雑な背景、からみ合う人間関係、激しいアクション、とこれまででもっとも苦労したというイ・ジュンギに話を聞いた。

-どうして『一枝梅』という作品を選んだのでしょうか。

 「30歳までに、英雄ものに挑戦してみたいと思っていました。自分のすべてをかけて、できるという自信がありました。『一枝梅』という人物は英雄ではあるけれど、実はその実態が知られていないので、かえっていいと思いました。白紙の状態で、自分が色を付けていけると」

-20代で英雄を演じたかった、という理由は。

 「単純に、20代の自分にしかできないこと、爆発力を見せたかったんです。かっこいい時に、かっこいいものをやりたい。それは今なのではないか、と。それに、一枝梅という役は若い人がやるほうがいいと思ったんです。自分はできる、という自信がありました。運命的というか…実は、MBCからもオファーがあったんです(笑)。でも、こちらの方が予定が早かったこともあって、決めました」



-マスク姿での演技は大変だったのでは。

 「目だけで演技するのは大変でした。感情がうまく伝わらないのではないか、と。でも自然体でやればいいと思いました。マスク自体も(着用しての演技が)大変でした。汗で重たくなって、鼻が押されて息苦しくなって、肩で息をするようになって…でも、それは絵的に美しくないので。それに毎日使うものなので、洗えないし、自分のとはいえ、臭いも気になったりしましたね(笑)」

-アクションは好きだとのことですが、時代劇のアクションはどうでしたか。

 「好きは好きなんですが、時代劇は現代劇のアクションと違うんですね。現代劇だと、ボクシングとか格闘技をやっておけば、単純にかっこがつくんですが、時代劇は、トレーニングが必要です。剣とか弓とか、アクロバットとか。その所作だけでも絵になるんで、見せるという意味では時代劇が大変です」

-今回のトレーニングはどのくらいやりましたか。

 「普段から体を鍛えているわけではないのですが、いつも2、3カ月前からトレーニングをします。休んでいる間になまった体を作り直すんです」

-アクションでの苦労はありましたか。

 「今回は、スタントなしでやりました。本当に飛び降りたら大けがしそう、っていう時以外は(笑)。自分ができるのに、スタントの人がやるとなんだか悔しくて夜も眠れないんです。それに(顔を映せないので)編集上もうまくつながらないとか、納得がいかないものになるのも心残りになりますから」



東京=野崎友子通信員

ホーム TOP