ソン・スンホン、クォン・サンウのW主演で話題の映画『宿命』がいよいよ10月4日に日本公開される。

 日本公開にあたっては、OSTが日本版オリジナルとなっていることも話題になっている。そこで、『宿命』の日本配給を手掛けるフォーミュラエンタテイメントの代表であり、日本版オリジナルOSTのプロデューサーでもある宮地大輔氏に話を聞いた。

―音楽をオリジナル楽曲にした理由は何でしょうか。

 「2大スター出演ということもあり、韓国映画の域を超えたアジア映画のスケールを感じ、日本の韓流ファンだけでなく多くの方に見てほしい映画でした。日本のアーティストや日本の特性にあった音楽を取り入れることにより、作品のポピュラリティーを上げ、スタイリッシュなイメージが加わり、韓流のイメージや枠を超える作品イメージが作れると。

 是非、多くの方に、見てほしい作品ですので、興味を感じていただくための間口を広げる意味でも、音楽は効果的であると感じたのです」

―主題歌にGLAY「紅と黒のMATADORA」、エンディングにJONTEの「Dear…」を選ばれた理由は。

 「脚本を読んだ時点で、エンディングの曲の作詞作曲の作業に入りました。物語のラストで、回想と結末が交差するシーンにあうバラードを作りたいと。

 JONTEは、EXILEファミリーということもあり以前から交流があり音楽への姿勢なども知っていて、また切なく歌えるソロアーティストが希望でJONTEの声質がそのイメージにぴったりだったので決めました。

 主題歌のGLAYに関しては、映像を見たときに、DANCE音楽より、ROCKだと思い、すぐにGLAYさんが歌ってくれたらな…という理想が浮かびました。作品全体とGLAYのイメージがとても合う気がし、また、主題歌を担当していただければ、作品にとてもポピュラリティーをもたらし、スタイリッシュになるだろうと。

 また、日本の枠を超えて、アジアでも有名なアーティストなので、この作品を韓流の枠から脱皮させてくれると思いました」

―昨今、韓国の映画の不振が続いていますが、どこに問題があると思いますか。

 「問題は、ありすぎだと思います。日本と韓国との、根本的なエンタテイメントビジネスの違いでしょうか。まず、金額が高騰しすぎていますね。また、販売後の協力体制が悪いとか、契約を守らないとか、言い出したらキリがありません(笑)」


―そんな中で、『宿命』を手掛けられた理由は。

 「自分が、音楽というスパイスを注入し、作品を変えられると思ったこと。また宣伝プロデューサーとして、アプローチポイントが見えたからです。

 また、韓国映画は不振というよりもどん底状態なのであえてアゲンストに挑みたいとも。自分の力、スタッフの力を信じて」

―『宿命』の見どころ、魅力はズバリどこですか。

 「2大スターの競演はもちろんですが、争いや裏切りの中でも、そんな相手に対しても心の隅にある情や、やさしさ、また思いやりが、とても伝わってきます。そういう『心情』がみどころだと思います」

―今後も、韓国の映画、俳優やアーティストに関わっていく予定はありますか。

「ジョン・ウー監督の名作『男たちの挽歌』の韓国リメーク作を準備しています。

 この作品では、単に日本版権を持つのみではなく、製作段階から大きく係っていく予定です。こちらもビックスターが出演し、皆さんのご期待にお応えできる大作に仕上がるはずです。韓国のアーティストは歌もうまいので、今後も『宿命』のように、一緒に作品を手掛けられたらと思います」

 長年、音楽業界に携わってきた宮地氏ならではの戦略が織り込まれた『宿命』が、思惑どおりその枠を超えられるか。

 『宿命』は最近の韓国映画としては異例の規模で、10月4日(土)、東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほか全国ロードショーされる。

東京=野崎友子通信員

ホーム TOP