さび付いた古い工場跡に花咲く芸術空間。「伝統」と「現代」、「産業」と「文化」が共存している場所。

 米国ニューヨークの代表的な芸術の街「チェルシー」を連想させる、韓国の新しい芸術空間、ソウル市永登浦区文来洞の鉄材通り。ここで間もなく市民と芸術家たちによる芸術フェスティバルが行われる。そのフェスティバルとは芸術団体「境界のない芸術センター」が27‐28日に開催する「境界のない芸術プロジェクト@文来洞‐流浪劇団の時間旅行」だ。

 1930年代の流浪劇団が2008年の文来洞に現れ、現代を生きる住民たちと出会うというテーマで、ダンス・演劇・美術展示・パントマイムなど、さまざまなジャンルの公演や展示が行われる。日本による植民地時代に流行した服とヘアスタイルに変身した芸術家たちが、小さな工場の並ぶ裏道や文来洞の通りのあちこちで自然に観客と一体化する。同洞内の公園に作られた舞台ではアコーディオンの演奏とともに楽劇『イ・スイルとシム・スネ』の公演が行われる予定だ。

 文来洞鉄材商店街は90年代から産業の変化により衰退し始め、現在は130軒前後の店が残っている。賃貸料が安いという理由で、4‐5年前から各分野の芸術家たちが作業室として使用するようになった。現在は10余りの芸術団体の事務所と、48の作業室があり、ソウルの新しい文化の街として注目を浴びている。

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