行く年を惜しみつつ、新しい年を迎えた。そんな今の時期を過ごすのに相応しい旅行地はどこだろうか。昨年1年を振り返り、新しい希望を胸に描くことのできる落ちついた場所がいいのだが、冬の旅はなかなか条件が難しい。夕日の美しい西海岸は泰安沖原油流出事故により復旧中のため、冬の旅行地はさらに少なくなっている。

 緑茶の産地として有名な全羅南道宝城は、冬の旅行に必要な要素をすべて兼ね備えている貴重な場所だ。真冬に緑色に染まる茶畑、冬の海に沈む真っ赤な夕日は人々にロマンを感じさせるだろう。

 その上、香り高い緑茶に冬の美味しい味覚、沈む夕日を見た後は凍えた体を温める温泉まで…。

 真冬の宝城はまさに冬の旅の楽しみを満喫できる場所だ。


◆冬の茶畑のロマン

 冬の茶畑には生き生きとした命が感じられる。段々畑を埋める柔らかな緑の稜線は、寒さで凍えた心に元気を吹き込んでくれる。雪が降れば、緑の茶畑の上に真っ白な雪が積もり、一味違った絶景を織り成す。雪の中で飲む熱々の緑茶も格別だ。

 40余りの大小の茶畑がある宝城には、冬の自然が作り出した緑と純白の絶景が広がる。

 その中でも最高の景観は宝城と会川をつなぐ峠、ポッチェ茶園だ。ポッチェから茶畑を見下ろすと心までスッとする。 『風の丘を越えて‐西便制‐』のロケ地としても使用されたことから、「ソリ(パンソリを歌う人のこと)峠」とも呼ばれるポッチェは、パノラマのように広がる茶畑を一目で見渡すことのできる場所でもある。特にここには12月になると、高さ140メートル幅150メートルの超大型ツリーが登場し、華やかな光の饗宴を見せてくれる。

 映画やドラマのロケ地としても有名な大韓茶業の宝城茶園も名所のひとつ。駐車場から入り口まで続く約600メートルの杉林は圧巻。空に向かって伸びていく杉の木は、清らかな世界に引き込まれていくように見える。修道女と尼が自転車に乗って走るCMに使用された杉林も是非歩いてみたい。

 茶畑の稜線が描き出す幾何学的な曲線に従って遠くを見ていると、葉を落とした冬の木々がまるで童話の中の風景のようだ。試飲場では温かい緑茶を飲むことができる。

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