3日、演技派俳優ユ・ジテが主演映画『ノートに眠った願いごと』の日本公開初日の舞台あいさつを東京・シネマート六本木で行った。

 ユ・ジテはファンで満席になった劇場で「1年間かけて撮影したもの。スタッフらが一体となって作り上げた手作りの工芸品のような作品。そのまごごろが伝わればうれしい」とあいさつ。「役のヒョヌが自分に深く染み入ってきて、映画を撮っていてとてもつらかった。罪悪感を感じていた。その間は自身と役柄のバランスを取るのが大変だった」と所感を述べた。

 特殊な環境の役柄と、ヒョヌのような普通の役柄とに取り組み方の違いはあるか、との問いに「それまでのいくつかの作品、『美しき野獣』などはジャンル映画として強さを持った作品ということで選んでいた。その後で撮ったこの映画では、何かのシーンを撮るにつけて物足りない演技ではないか、と思ったこともあるが、強いキャラの演技よりもラブストーリーの滲み出すような演技の方が難しい気がした。せりふが少なく、日常生活を演技するためには、その奥にある感性を見つけ出して演技する必要性を感じた」と語った。



 日本語で話せることは、と尋ねると「ぼくは日本で4カ月勉強したので、少し話せます」ときれいな日本語で答え、場内からは感嘆の声が上がった。

 『ノートに眠った願いごと』は10年前に事故で亡くなった恋人、ミンジュの残した新婚旅行と書かれたノートに沿って巡るヒョヌ(ユ・ジテ)のロードムービー。ユ・ジテは秋の美しい景色を背景に、ミンジュの思いをたどりその思いを知り、また謎の女性セジン(オム・ジウォン)と出会い、という変わりゆく心のひだを見事に演じている。

 3日より東京・シネマート六本木、シネマート新宿、シネマックス千葉で公開、以降全国各地で順次公開される。

東京=野崎友子通信員

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