そしてZARDの曲は、韓国で2曲カバーされている。人気女性シンガー、イ・スヨンがZARDの『GOOD DAY』を『グッドバイ』というタイトルでカバーし、『負けないで』にも韓国語の歌詞が付けられ、KBSの青春ドラマ『四捨五入』の主題歌『負けるな』として使われた。

 イ・スヨンのファンや、ドラマ主題歌に関心を持っていた人々もZARDの名を知っており、所属レコード会社の親会社ビーングで進められた韓国の女性アイドルグループJEWELRYとの出会い、パク・チョンアによる『負けないで』の熱唱などにより、女性アイドルグループのファンにも幅広く親しまれた。

 このように、アニメ・スポーツ・曲のカバーなどにより韓国で人気の出たZARDのファン獲得プロセスは、K‐POP界の海外進出に従来とは違った路線を示している。覚えやすいメロディーやミュージシャン自身の海外進出だけが世界へ飛び立つ方法ではないということだ。こうした中でも、日本で「タイアップ」と呼ばれる映像コンテンツへの曲の挿入は注目に値する。

 韓流ドラマブームに乗り、ミュージシャンが主題歌や挿入歌を通じ紹介される方式は、十分考慮に値する。韓国語で歌われたシングルCDのうち、日本で最も多くの売上を上げたのはRyuによる『冬のソナタ』の主題歌『最初から今まで』だったことを思い起こせば納得がいく。『宮廷女官チャングムの誓い』の主題歌『オナラ(来てください)』もアジア各国で人気を集めた。

 これまで、韓国ではドラマ主題歌の選定があまりにもお粗末だった。CD売り上げに直接つながらないという判断からか、ミュージシャンへの参加オファーも低かった。だが、やはり韓国を除くアジアの市場では「タイアップ効果」は大きい。

 すでにアジアで確固たる地位を築いている韓流ドラマというジャンルとタイアップし、ミュージシャンを自然な形で紹介する方法も十分可能性がある。同様に、スポーツの応援歌にふさわしい曲を全面的にバックアップし紹介する方法や、海外でのカバーをしっかりサポートするのも「間接的な進出」戦略で、検討する価値は高い。ミュージシャン自身の進出は、その後で行うほうがはるかに安全で賢明だ。

イ・ムンウォン(大衆文化評論家)

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