1990年代のJ‐POP界を代表する音楽ユニット「ZARD」のボーカル、坂井泉水さんが5月28日に死去した。享年40歳。

 彼女の死についてはさまざまな説が飛び交っているが、90年代のJ‐POP界を象徴する最大の存在が消えたという点で異議を唱える者はいないだろう。

 デビュー後17年で活動を終えることになったZARDは、日本のアーティストのCD販売枚数で歴代8位、女性アーティストとしては浜崎あゆみ、松任谷由実に次いで3位を誇る。転落死のニュースが報じられて以来、CDの売り上げが急増し、死後にランキングが上がるという現象も起きつつある。

 坂井さんの死は、J‐POP界にとってショックな出来事であり、韓国国内の多くのJ‐POPファンにとっても、悔やまれる出来事だった。だが、坂井さんの死について、こうしたこととは別に、見極めるべき点が韓国にはある。

 それは、韓国で広く知られていたようには思えなかった坂井さんの死が、なぜ韓国メディアや韓国人の関心を集めたかということだ。

 実はその理由は簡単だ。ZARDはこれまで思われていたより広く韓国人に知られたアーティストだったというわけだ。それなら、日本でも表舞台に姿を現さず、極端な神秘主義路線をとっていたことで有名なZARDが、これほどまでに韓国人に親しまれていたのはなぜだろうか。

 まず、ZARDはJ‐POPファンだけにアピールするようなアーティストではなかった。ZARDはまれなことに、「日本の音楽」そのものに関心のない層までも魅了した。ZARDは日本のアニメが好きな韓国人に親しまれていた。かなり多くのZARDファンは、人気アニメ『SLAM DUNK』第4期エンディングテーマ『マイ フレンド』や、同じく人気アニメの『名探偵コナン』第4期オープニングテーマ『運命のルーレット廻して』といったテレビや劇場版アニメの主題歌で初めて彼女を知った。

 またZARDは、スポーツファンにもお馴染みの存在だった。坂井さんのシングルとしては最大のヒット曲『負けないで』は日本の代表的なスポーツ応援ソングだ。第66回選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも選ばれたこの曲は、その後も日本でスポーツの応援ソングとして確固たる地位を築いた。覚えやすく軽快なテンポと前向きな内容の歌詞は、スポーツの応援歌に「うってつけ」だった。韓国で言えば、ユン・ドヒョン・バンドが2002年の韓日ワールドカップで歌った応援ソング『オー必勝コリア』のように、誰もが口ずさんだ。

 このため、韓国VS日本のさまざまなスポーツの試合でも『負けないで』が熱唱される姿がよくテレビで紹介され、韓国でも関心を持ち始めた人が非常に多かった。

イ・ムンウォン(大衆文化評論家)

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