ドラマ
【インタビュー】コ・ヒョンジョン「清純可憐…って私がですか?」
18日、コ・ヒョンジョンは1日中泣いた。恋人が連続殺人犯に刺され死ぬシーンを撮影した日だったからだ。死んでいく恋人を置いて犯人を追いかけながら泣くシーンを撮影するため、この日は朝から精一杯の努力をしたと話す。「共演している歌手キム・ジョンミンさんも壁を叩きながら泣くシーンを撮影する日だったので、偉そうに聞こえるかもしれませんが、演技者として先輩の私が雰囲気をつかまなければいけないと思い、撮影の前からずっと泣いていたんです。でも、そんな心配とは裏腹に、キム・ジョンミンさんがあまりにもリアルに泣いていたので、一瞬笑ってしまいました」とコ・ヒョンジョンは笑った。
この回の放送でコ・ヒョンジョンの涙に視聴者は共感を抱き、女刑事「チャ・スギョン」のキャラクターを完成させるターニングポイントとなった。21日、京畿道坡州の『H.I.T』の撮影現場で会ったコ・ヒョンジョンは、右の頬を怪我したメイクのままでインタビューに臨んだ。
最初の質問はドラマ『砂時計』の清純可憐なユン・ヘリンを10年以上記憶している視聴者の「意見」から始まった。どうして“清純可憐”なコ・ヒョンジョンがカムバックの後、天然ボケの三流雑誌記者やタフな女刑事役を演じているのか?
「復帰作で『キツネちゃん何してるの』に出演したとき、そういう質問をたくさん受けました。理由について考えてみたら、『それはおかしいな』と思ったんです。いつ私が清純可憐だったのか?デビュー作の『ナツメの木に恋が』のマルスニって清純可憐型ですか?」
それでも理由が知りたかった。セックスコラムを書く雑誌記者、車の中で足指靴下を履いた足をボリボリかく女刑事など、少々風変わりな女性の役ばかり続けて演じる理由は何なのか?
「私は出演作を選ぶとき、いろいろな条件を付けるタイプではありません。キャスティングが入ってきて『私以外に考えている女優がいますか?』と聞いたとき、『コ・ヒョンジョン以外はいないと思っている』という答えが返ってくれば、とにかくOKするタイプです。他の女優の名が挙がっているときは、その方より上手く演じる自信がないことが多いので…」。
コ・ヒョンジョン以外には考えられないキャラクターがセックスコラムを書く三流雑誌記者、男よりタフな女刑事だということだ。
「本当の性格がドラマのキャラクターと似てるのでは?」と質問すると、コ・ヒョンジョンは大笑いしながら、「ドラマで演技している姿は本当の私ではないです。ドキュメンタリーじゃないですから。人間の持つさまざまな要素を、役に合わせて集約的に見せているだけです」と話した。
『H.I.T』でコ・ヒョンジョンは「連続殺人犯」を追いかけるタフな女刑事。しかし過去に恋人を失ったことが心の傷となり、きれいな靴を買っても履くことができず、値札も取らずに下駄箱に入れたままにしている。誕生日にはベロベロに酔って、「輸出の日もあれば警察の日もあるのに、よりによって恋人の誕生日に死ぬとはね」と嘆く。
「チャ・スギョンのキャラクターは本当は“悲しい女の子”なんです。元々積極的に仕事をする性格の持ち主ではないけれど、人生で予想のしなかった試練にぶつかり変わっていく、変わらなければ生きていけないというか…。チャ・スギョンだけでなく、人生には誰にでもそういう屈曲があるじゃないですか。チャ・スギョンの人生を私がうまく演じて、視聴者の皆さんの慰めになれればと思います。コ・ヒョンジョンではなく、チャ・スギョンの名前で記憶して欲しいです」
復帰してから3年目のコ・ヒョジョンはやっと余裕が出てきた。89年にデビューしてから18年目だ。コ・ヒョンジョンはインタビューの最後、「10年ぶりに演技の世界に戻ってみたら、演技者も視聴率で悩むようになっていました。ドラマ制作があまりにもビジネス化してしまい、ドラマの撮影の途中で助演たちと食事をする時間さえないほど」と時代の変化について語った。世の中もテレビの世界も変わったけれど、30センチ前にいるコ・ヒョンジョンの顔だけは10年前そのままだった。「1人だけ年を取らないのはずるい」と言うと、「一生懸命歳月と闘っているところ」と答えた。