今年公開された韓国映画の中で断然最高の映画だ。ソン・ガンホ、ビョン・ヒボン、パク・ヘイル、ベ・ドゥナ、コ・アソンの5人の俳優に点数を付けるなら、星5つでは足りないほどだ。

 4日、メディア・配給会社試写会を通じて公開された話題作『グエムル-漢江の怪物-』は、映画上映の終了後、拍手喝采がわき起こった。笑いが漏れることも、拍手が沸きあがることも少ないメディア試写会では、それこそ稀に見る異例な出来事だった。映画が始まる前に、舞台挨拶をしたビョン・ヒボンが「映画の出来が良くても悪くても拍手して欲しい」という言葉に、客席に座っていた観覧者たちが応えた形となった。

 この日、国内で始めて公開された『グエムル-漢江の怪物-』は、ニューヨークタイムズ紙で「今年のカンヌ映画祭の中で、最も面白かった映画」と評された通りの出来栄えだった。デジタル技術で誕生したグエムルは、照明が暗いシーンでクネクネと動き回るエイリアンとは違い、昼間の明るい時間にそのおぞましい威容を見せつけた。

 また『フランダースの犬』『殺人の追憶』とも通じるポン・ジュノ監督の奇想天外なユーモアは、映画の各場面でまるで爆竹が鳴るかのように大きな笑いを誘った。

 この日の試写会は同映画に集まる大きな期待を反映し、数百人の記者や配給会社、映画業界の関係者が集まり、映画界の一大イベントとも言える大規模なものとなった。試写会はメガボックス5館で開かれたが、座席が足りないほどの盛況で、場所を確保するために忙しく歩き回る関係者たちの姿があちこちで見られた。


 ポン監督は、前作の『殺人の追憶』を無気力な社会と、その中でもがき苦しむ個人の姿を特有の風刺を帯びた視線で描いた。そして今回の『グエムル-漢江の怪物-』では、権力構造のあらゆる装置から無視される市民の姿をユーモアたっぷりに描きながらも、最後には涙を誘う感動的なエンディングを用意した。

 カンヌ映画祭で先に公開された『グエムル-漢江の怪物-』は、これまで限定的な情報しか伝わっていなかったこともあり、反米映画という汚名を着せられてきた。しかし、もっとマクロ的な観点から見た場合 「スローガン映画にはうんざり」と語ったポン監督の言葉通り、同映画は、レビアタン(聖書に登場する怪物)に飲み込まれたヨナのように、国家権力という巨大な怪物を前に抵抗するすべを持たない無力な市民を描いている。

 俳優たちの好演も『グエムル-漢江の怪物-』に話題が集まる要素の1つだ。チャップリンの映画と同様に、同映画が悲しい現実を憂うつに感じさせないのは、ソン・ガンホの役割が大きかったためだ。また父親役のビョン・ヒボンは、なぜ最近の韓国映画にベテラン俳優たちが続けてキャスティングされるようになったのか、その理由を改めて感じさせるほどに、渋い演技を見せた。

 パク・ヘイルは、映画『恋愛の目的』に続いて、ずうずうしい姿をスクリーンに見せたほか、ベ・ドゥナは宇宙人のようなその独特の存在感を見せつけた。また幼いながらも強いキャラクターを演じたコ・アソンは『グエムル-漢江の怪物-』では宝石のように貴重な存在だ。

 『グエムル-漢江の怪物-』は、スクリーンクォーター制縮小問題で騒然としている最近の韓国映画界にとって、希望の星となることは間違いない。同映画は、12歳以上から観覧可能で、今月27日から公開される予定。

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