チョ・インソンがヤクザの本性を表した。

 『マルチュク青春通り』のユ・ハ監督とコンビを組んだ『卑劣な通り』で、ヤクザのナンバー2ビョンドゥ役を演じたチョ・インソンは、母性本能をくすぐってきたこれまでのイメージを完全に破り“殺伐とした”ヤクザをリアルに演じ、合格点をもらった。

 まず、その風貌からしてこれまでのイメージと全く異なっている。チョ・インソンは小麦色に焼いた肌に角刈りの頭、モノトーンのスーツで荒々しくも冷徹な男のイメージを演出した。眉間のシワはこれまでの優しいイメージを完全に打ち消したとの評価だ。

 あらゆる悪事を瞬き一つせずにやってのけるビョンドゥのキャラクターも同様、チョ・インソンの変身ぶりに驚きを加えている。どこからか奪ってきたカネをせしめ、脅しや乱闘も何のそのというビョンドゥは、マンションで乱闘騒ぎをおこすこともしばしば。“仕事”をジャマするヤクザを山に埋め、顔に蜂蜜を塗り「この山はアリもハチも多いが、天然の蜂蜜を塗って何日かここに放っておいたら面白いだろうな?」という険悪な脅迫もはばからない。

 これまで母性本能をくすぐる軟弱男を主に演じてきたチョ・インソンは、マンションで大声を出して罵りまくるシーンで、カットの合図がでるとコートで顔を隠して恥ずかしがったという。しかし、たちまち現場になじみ、アドリブをこなすほどの余裕を見せたという話だ。

 映画関係者は「キャスティング当時、チョ・インソンのヤクザのキャスティングを危惧する向きがあったのは事実だが、チョ・インソンは堂々とした演技で合格点をもらった」と驚きを表した。当初チョ・インソンをキャスティングしたユ・ハ監督は「顔が整いすぎているが、目に善と卑劣さが共存しており、即キャスティングを決めた」と説明していた。

 『卑劣な通り』は、未亡人の母と2人の弟を養わなければならない三流ヤクザビョンドゥが、目の上のたんこぶである検事を始末しろというファン会長の命令を受け一世一代のチャンスを得るが、一瞬の失敗が命取りになり危機に直面するストーリー。6月15日ロードショー。

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