「米国に渡り、アジア、ヨーロッパ、今や中東まで。ドラマに海外ロケは必須なのか?」

 お茶の間に座りながら全世界の風景を見ることができる。異国情緒溢れる風景なしにはもはや視聴者たちの関心を引くことはできないということなのか。今では海外ロケに行かないドラマを探すほうが難しくなっている。


 今年に入って、韓国で放送されたドラマを見てもそうだ。KBS第2テレビ『春のワルツ』はオーストリアのシーンで幕を開ける。KBS第2テレビ『グッバイソロ』はバリのシーンで幕を閉じた。SBS『天国の樹』は日本オールロケを敢行し、海外ロケブームの絶頂期を築いた。

 5月に放送されるKBS第2テレビの新月火ドラマ『魔女と野獣』は米ラスベガス、MBC新水木ドラマ『ある素敵な日』はオーストリア、SBS新水木ドラマ『スマイル アゲイン』はスイスロケを選んだ。


 今年下半期放送のドラマも相次ぎ海外ロケを行う予定だ。脚本家キム・スヒョンの原作小説をドラマ化する『雪の花』は日本、カーレースをテーマにした『スピード』はトルコで撮影する計画だ。チェ・ワンギュが脚本を手がけ、女性ロビイストのリンダ・キムの一代記を描く『ロビイスト』も米国ロケが欠かせない。

 昨今の海外ロケブームの起爆剤になった作品は、2004年6~8月に放送されたSBS『パリの恋人』と見るのがテレビ界の定説だ。パリというロマンチックな都市を背景にした同ドラマは50%を超える視聴率を記録し、海外ロケにバラ色の展望をもたらした。


 1990年代初めに起こった米国ロケブームが通貨危機以降下火になっていたとすれば、2003年末に放送されたSBS『ラブストーリー・イン・ハーバード』と2004年初めに放送されたSBS『バリでの出来事』は再びブームに火を付けた。続いて『パリの恋人』が海外ロケ地多様化の契機になった。

 それ以降、SBS『ガラスの華(ユリファ)』は日本、『香港エクスプレス』は香港、『グリーンローズ』は中国上海、『百万長者と結婚する方法』はフランス、MBC『悲しき恋歌』とKBS第2テレビ『ごめん、愛してる』はオーストラリアで撮影された。時代劇は中国でロケするのが一般化した。KBS第2テレビ『海神』、MBC『シンドン』、『朱蒙』をはじめ8月放送予定のKBS第1テレビ『大祚栄』も中国の広大な風景をバックに撮影する。


 一方、『パリの恋人』は、昨年『プラハの恋人』の続編を制作し、『地中海の恋人』でヨーロッパ3部作を完結する予定だ。

 こうした海外ロケブームに対し、『パリの恋人』の放送当時SBSでチーフプロデューサーを務めていたムン・ジョンス代表(現(株)DSP Ent代表)は「視聴者は、異国的風景で視覚的な楽しみと間接的体験をすることができるが、ドラマ的に海外ロケの必然性がなければ欠点ばかりが目に付く」と話した。


 また「海外ロケになぜ行かなければならないのかという明確な根拠がなければ、本末転倒で制作費の浪費」とし「制作費がかさみ、無理なスポンサー契約や広告維持といった副作用も起こる」と説明した。

 ムン代表はまた「ドラマと空間が合っていなかったり、韓国の状況にしっくり合っていなかったら、風景が良くても絵はがきの羅列にしかならない」とし「ドラマの中での必然性のため、海外ロケは慎重に判断すべき」とアドバイスした。

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