「ヨン様?そうですね。私は優しい“ヨン様”ペ・ヨンジュンよりソウル女性映画祭で出会った強い女性スタッフのほうが魅力的でした。とてもタフに見える下の喫茶店のオバチャンにも本当に惹かれますね」

 8日に韓国を訪れた女優で監督の唯野未歩子氏。第8回ソウル女性映画祭(14日まで)に参加するため、今回初めて韓国を訪問した唯野監督は10日午後2時、ソウル新村アートレオン劇場で行われたスターニュースとのインタビューで、東京女性映画祭よりずっと若くて活気に満ちた女性たちが映画祭をリードしているという事実に驚きを表した。

 唯野監督は、自身の監督デビュー作『三年身籠もる -THREE YEAR DELIVERY- 』を今年のソウル女性映画祭の主要部門“新しい波”に出品した。同映画は無気力な夫とプレイボーイの弟のために悩むフユコがナント3年間も妊娠して出産するという独特な想像力が光るストーリー。

 特異な女性を主人公にしてしまう監督のセンスなのか、唯野監督はインタビューの間、韓流スターよりも生活力の強い韓国の女性たちのほうが魅力的だと強調した。

 「韓国の女性たちはとてもタフで魅力的です。自分の意見をはっきりと主張し、考えをしっかりと持っている。観客たちの映画への反応からも感じました」

 唯野監督は慎ましくて可愛らしい印象だが、なかなか芯の強い女性。武蔵野美術大学でグラフィックデザインを専攻し、1994年に映画『スイングガールズ』の矢口史靖監督らが参加したビデオインディーズ映画『ワンピース』で映画の道に入った。


 その後、1996年多摩美術大に再び入り、映像学を専攻する傍ら短編映画を制作し監督修業を積んだ。一方、1997年に映画『フレンチドレッシング』で女優としても成功を収め、一躍名を広めた。

 唯野監督は女優と監督はそれぞれ位置が変わるだけで、映画を思う気持ちには通じるものがあると話した。

 「女性監督のメリットは柔軟性だと思います。しかし、自己満足のために映画を作ってしまわないように女性監督は気をつけないといけません。これまでのように、今後も女優と監督、そして小説家も全て並行していく予定です」

 また、映画監督を志望する韓国の女性たちに「韓国の女性たちも心の中心をしっかり持ち、ユーモアを忘れず現実とよく闘っていくことを願う。女性たちが少し攻撃的に出ると、ただのヒステリーで片づけられてしまうので、スタッフと上手くやっていくことが大事だ」とアドバイスした。

 主演映画の演出の計画を問う質問には「全くない。次回作は構想中だ。映画を見た後にクスッと笑えるようなブラックユーモアのある作品を撮ってみたいと思う」と伝えた。

 唯野監督は未婚。「昔の夢はお嫁さんだったが、もうあきらめた。これからも夢としてだけ残っていく気がする」とほほえんだ。

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