映画
映画『王の男』大ヒットで監督・出演者もブレイク
故事成語の「刮目相対(他人の学識や技量などが目覚ましく進歩したことを驚嘆して注目すること)」は朝鮮時代のソンビ(指導者層に属する教養を備えた人)ではなく芸人に相応しい表現のようだ。忠武路(チュンムロ、韓国映画の中心地)や広告業界が時代劇『王の男』で芸人役を演じた俳優に再注目しているからだ。
旧正月連休最終日の30日、『王の男』は800万人の観客動員を突破した。『ウェルカム・トゥ・トンマクゴル』(4位、801万人)、『友へ チング』(3位、818万人)の記録を破るのは時間の問題で、今は歴代最高のヒット作『ブラザーフッド』(1174万人)の記録を超えるかに関心が集まっている。
「朝目覚めたら、ぼくは有名になっていた」という英国の詩人バイロンの言葉は新人俳優イ・ジュンギ(24)に最も当てはまる表現になった。『ホテルビーナス』 『バレエ教習所』などに出演したが、彼の名前を記憶する人はいなかった。
しかし「女性よりも美しい芸人」コンギルの姿が公開されると、彼の人気は急上昇した。昨年12月29日の公開から一か月でスターの仲間入りを果したのだ。彼が出演するドラマ『マイガール』のロケ現場には彼を一目見ようとするファンが殺到して撮影が中断したり、日本からもファンが集まるほどの賑わいを見せている。
出演料も暴騰した。イ・ジュンギの所属事務所社長は「正確な額を明らかにすることはできないが、『王の男』に比べて『フライダディフライ』では5倍近い出演料を手にした」と話した。
イ・ジュンギの『王の男』で得た出演料は3000万~4000万ウォン程度だったが、『フライダディフライ』の出演料は2億ウォンを超える水準となったわけだ。
人気の尺度となるCM出演のオファーも相次いでいる。チョン・ウソン、チョン・ジヒョンらトップスターのキャスティングで有名な「GIORDANO」の新CMにチャン・ドンゴン、イ・ヒョリと共演する。出演料は半年契約で約1億5000万ウォン。前出の所属事務所社長は「飲料、化粧品、携帯など5つの企業からCM出演のオファーが同時に寄せられている。3日にマレーシアでのCM撮影が終わった後、次のスケジュールを決めたい」と鼻息が荒い。
芸人ジャンセンを演じたカム・ウソンも同じだ。信頼できる俳優として有名だったが大衆的な人気は少なかった彼も『王の男』でブレイクした。チョ・スンウが出演していた自動車保険「現代海上」の新イメージキャラクターに選ばれたのだ。『王の男』のマーケティングを担当したシネワールドのチョン・スンヘ理事は「恐らくカム・ウソンが十代の頃に出演した生理用品CM以来10年ぶりのオファー」と笑った。カム・ウソンは28日にオーストラリアで結婚式を挙げ、現在は新婚旅行中だという。
『王の男』のヒットは監督にもいくつかの影響を与えた。まだ最終確定はしていないが、演出を務めたイ・ジュニク監督にまでCM出演のオファーが舞い込んできたのだ。チョン・ジヒョンが出演中の化粧品ブランドの演出とモデルを同時に務めてほしいという提案だ。『王の男』でイ監督が手にした演出料は6000万ウォン。これはトップレベルの監督が受け取る額の3分の1に過ぎない。忠武路ではイ監督の次回作の演出料が2~3倍は高騰するものと見ている。
『王の男』の総制作費は41億ウォン。その中で最も多い出演料を受け取ったとされるカム・ウソンは別途のインセンティブ契約を除いて約3億ウォン。『タイフーン』(175億ウォン) 、『青燕』(100億ウォン)、『美しき野獣』(52億ウォン) といった、いわゆる韓国型超大作の巨額制作費と「5億ウォン+α(インセンティブまたは持分)」というトップスターの出演料に比べれば半分ほどの額だ。『王の男』のヒットはトップスターと巨額の制作費が必ずしも映画ヒットの前提條件にはならないことを証明した、また一つの模範事例となった。