「これは国際的な恥曝しです。『親切なクムジャさん』を制作したモホフィルムも、配給会社のCJエンタテインメントも、映画振興委員会も、すべて分かっていたのは事実です。しかし、すべて口を閉ざしていたのです。公式発表ができるのはベルリン映画祭と私たちだけだからです」

 女優イ・ヨンエの所属事務所ドアエンタテインメントのイ・ジュヨル代表は興奮気味にこう話した。9日午後から10日深夜にかけて起った騒動のためだ。「ベルリン映画祭イ・ヨンエ審査委員委嘱」の一報に最も喜ぶべき同代表が「国際的な恥」と不機嫌に語った理由はこうだ。

 イ・ヨンエ側がベルリン映画祭組織委から審査委員委嘱の公式オファーを受けたのは昨年9月29日。カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭で韓国女優が審査を務めるのは初となるだけにこれを快諾した。しかし映画祭側は「私たちが公式発表する前までは必ず秘密を守ってほしい」と何度も要請した。今年のベルリン映画祭のコンペティション部門の招待作と審査委員の公式発表は14日に予定されていた。

 100日近くにわたって守られてきたベルリン映画祭との約束は、わずか5日前にして9日に破られた。釜山映画祭の某プログラマーが「今度のベルリン映画祭に韓国人審査委員が含まれている」という情報を某インターネット・メディアに教え、芸能関連メディアは「イ・ヨンエ、ムン・ソリ、キム・ジスら4人が有力」「イ・ヨンエが最有力」といった記事を次々と掲載、ネットを駆け巡った。

 その後、深夜0時頃、釜山映画祭関係者の名前で「イ・ヨンエに決定」という記事が発表されると、所属事務所も公式に認めるという形になった。前出の代表は「釜山映画祭に何の資格があって我々の権利を奪ったのか聞きたい。ベルリン映画祭に今回の経緯を伝える電子メールを送りながら非常に複雑な心情になった」と語った。

 関係者に悪意はなかったはずだ。しかし、常識というものがある。女優個人にとって光栄な知らせだけに、関係者たちが決められたことを守って発表するのが常識というものだろう。

 某映画評論家は「国際映画祭のプログラマーは互いに情報を共有するため非公式的に招待作品や審査委員の情報をいち早く入手している。しかし、映画祭側が公式発表するまでは口にしないのが当然の礼儀」と語った。

 MKピクチャーズのシム・ジェミョン代表は「2003年のベネチア映画祭コンペ部門に進出した『浮気な家族』(原題『浮気をした家族』)の時も同様のケースだった。なぜ速報争いだけのためにメディアがここまでするのか理解に苦しむ」と語った。

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