スクリーンの2次元のなかに閉じ込められていた映画が、舞台に飛び出し始めた。

 演劇の『オールドボーイ』、ミュージカルの『シングルズ』『銀杏のベッド』『クワイエット・ファミリー』『ダンサーの純情』…。「映画-舞台」の逆流は新しい潮流だ。

 遠い昔(?)から『私に会いに来て』が映画『殺人の追憶』に、『ウェルカム・トゥ・トンマクゴル』と『オグ』(Hillarious Mourning)が同名の映画に、『爾(なんじ)』が『王の男』として映画化されるなど、作品性、大衆性の面で成功した演劇が忠武路(韓国映画の中心地)に取り上げられたことはあるが!

 「演劇は映画はうらやましがっていますが、映画は演劇を爪弾きにしています」。李潤沢(イ・ユンテク)監督が演劇『オグ』の舞台をカメラに移し、映画フィルムという「分身(プリント)」を作った後に語ったこの言葉は、今や正しくない。

 今や映画の一部から、フィルムのなかの永遠な命を捨て、毎日咲いてはしぼんでしまう演劇の現場に身を投じる動きが出ている。

 4万人の観客を集めた演劇『ライバン』、成功したと評価されたミュージカル『ワイキキブラザーズ』に続いて、2006年からは「スクリーンを抜け出した舞台」がブームを巻き起こすものと見られる。

★舞台へ舞台へ

 今年3月、大学路の200席規模の小型劇場でその姿を現す演劇『オールドボーイ』。演出のキム・グァン氏は、「あらすじはさほど変わらないものの、映画がパク・チャヌク監督のスタイルで復讐を物語るとすれば、演劇は夢幻的で、心理劇に近いものになるだろう」と話した。来年末頃、日本での公演も計画している。

 ミュージカル『シングルズ』は年末から上演する予定だ。堂々たるシングル(独身者)たちのクールな恋のさや当てという内容がミュージカルの題材として持ってこいと評価される。

 製作会社のアゴカンパニーのソン・サンウォン理事は「原作の認知度が高いうえ、オム・ジョンファの出演が確定視されており、投資家の確保にも有利」と説明した。

 アゴカンパニーは、演出家の曺広華(チョ・グァンファ)氏とミュージカルの『銀杏のベッド』の台本の作業も並行している。

 MKピクチャーズは今年の下半期、映画の『九尾狐(伝説上の人間に化けたキツネ)家族』の封切りの直後、同名のミュージカルを上演する計画を持っている。

 映画とミュージカルの相乗効果を期待した計画だ。MKピックチャーズの沈裁明(シム・ジェミョン)社長は、「7曲の歌とサーカスも盛り込まれる映画であり、企画の段階からミュージカルを念頭に置いていた」と述べた。

★ 重要なのはうわべではなく内容

 「舞台に進出する映画」という流れは、演劇界の「題材の貧困さ」を反映している。一つの良質な公演の台本を作るためには1~2年はかかるのに、映画を演劇の舞台に移す場合、その時間を節約できる。.

 コメディーミュージカルの『クワイエット・ファミリー』を製作しているショーノートのソン・ハンセムプロデューサーは、「無から有を創造することは難しいうえ、ミュージカルへの投資家は待ってくれない」と説明した。

 先月幕を閉じた演劇『爾』は、『王の男』の封切りに後押しされ、今年1月7日、再上演に突入する。

 今年3月、演劇『私を会いに来て』を小型劇場ではなく、中型の劇場で上演する公演企画イダは、映画『殺人の追憶』が観客を数を膨らませたと見ているようだ。

 しかし、すべての変身が成功するとは限らない。場面の転換が制限的なだけに、ドラマが魅力溢れるものでなければならないうえ、時間と空間に耐えられる舞台俳優が必要になる。

 『ライバン』の演出家ムン・サムファ氏は、「圧倒的なスペクタクルで想像力を目に見える形に変える力量を備えた映画と、その能力に欠ける演劇は、ゴリアテとダビデのように、規模の面で比べ物にならない」とし、「しかしダビデが投げかけるべき石ころは、おそらく人間的な感動となるだろう」と強調した。

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