ヒップホップ系の曲が大ヒットしている。Epic Highの『Fly』やLeessangの『俺は笑っているんじゃない』が各種チャートの1~3位を行き交っている。90年代初めにDuexやDJ DOCが自らの曲に一部ヒップホップを取り入れたが、本格的なヒップホップグループがここまでブレイクしたのは初めてだ。

▲大衆的ヒップホップには「理由」がある

 一般の目の高さに合わせて歌うようになったヒップホップ系アーティストの変身が功を奏した。もちろん既存ファンの反発は買ったが、ストレートかつインパクトある言葉で社会に対する不満を表現した過去とは違い、最近のヒップホップは大衆の現実を反映して愛や別れなど個人的な感情も歌っている。

 『Fly』は既存のヒップホップスタイルに比べ、ラップよりは感覚的なメロディーに比重を置いており、多様な電子音を全面に打ち出している。DJ Tukutzはこう説明する。「リズムはヒップホップだが、この曲はエレクトロニカに近い」。R&B的な要素もありつつ女性ボーカル・アミンJの美声や「大変でも希望を失わない」というメッセージも共感を得るのに一役買った。Tabloは「アレンジが非常に難解だと言われて随分と心配したが結果は良かった」と話す。


『俺は笑っているんじゃない』も同様にラップよりも歌に比重が置かれ、30~40代に至るまで幅広い支持を得ている。野太くて荒いメンバーたちの声、古い印象を与えるメロディーで別れの後の心の痛みを淡々と歌っている。もちろん女性ボーカル(ALI)の影響も大きい。メンバーは「素朴な歌詞が成功のポイントだったようだ。過去2年間に自分たちが実際に経験した愛や別れの痛みを歌っているから人々の心が動くのでは?」と語った。

▲ヒップホップ文化の底辺が拡大

 ソウル江南(カンナム)などのエリアでヒップホップが流れるパーティー文化が広がり、ヒップホップ系のクラブが増え始めたのが2年前。今ではそうした現象が急速に拡散している。ヒップホップが最新文化の象徴のように若者たちに消費されているのだ。このためヒップホップ系アーティストの注目度も高まるしかない。

 ヒップホップレーベル「マスタープラン」のイ・ジョンヒョン代表は「2年前から釜山(プサン)にもヒップホップ系のクラブがオープンし始め、今年に入ってからは全国からクラブオープンのイベントに参加してほしいとオファーが寄せられている」と言う。

▲ヒップホップ、アイドルスターのカモフラージュ?

 最近ヒップホップ系ミュージシャンのテレビ出演が増え、一般との距離が縮まりつつある。この1年間、休まず多くのバラエティー番組に出演してきたEpic HighのTabloが、その先駆けだ。Tabloは「ヒップホップミュージシャンが地下のスタジオにこもって人々とコミュニケーション出来ない変わった人ではないということを見せたかった。はっきり言って音楽ばかりで普段の暮らしをエンジョイしているミュージシャンがどれだけいるだろうか?」と語った。Leessang、Drunken Tiger、Dynamic Duoらも最近、テレビ番組に度々姿を現わしている。

 アイドルスターが相次いで自分の音楽スタイルにヒップホップを取り入れている点も見逃せない。元HOTのチャン・ウヒョクは『沈まない太陽』で激しいラッピングを披露して本格的なヒップホップアーティストを連想させている。今年初めにニューアルバムをリリースした元Sechskiesのウン・ジウォンは当初からLeessang、Drunken Tigerらと交流があり、ヒップホップアーティストに生まれ変わった。

 某ヒップホップレーベルの関係者は「世界のポップ市場の主流がブラックミュージックに変わったことで、イ・ヒョリ、SHINHWAら国内スターの音楽もヒップホップ、R&B的な要素が強まっている」と語った。

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