玉流(オクリュ)館の冷麺が平壌(ピョンヤン)冷麺の原型とされているが、そうではないという意見も多い。

 玉流館が建てられたのは南北分断の後の1960年。1949年に「ソブク館」という名でオープンした「ウレオク」や、光復(クァンボク、日本の植民地支配から解放された日)前に創業した「平壌麺屋」より歴史が短いからだ。

 どちらにしても、玉流館が現在、北朝鮮で味わえる最高水準の冷麺であるということには間違いない。

 北朝鮮の失郷民たちがよく訪れるという冷麺専門店4店を玉流館と比較してみた。4店共ソウル・乙支路(ウルチロ)付近にある。

 スープが軽く、味わい深い。玉流館と似ているが、少し塩辛い。麺は太く素朴な感じ。スープとの調和感がやや劣る。値段は7000ウォン。キジの肉団子を入れたキジ冷麺(8000ウォン)もある。出汁に使った肉の薄切り(1万8000ウォン)、キジ肉の盛り合わせ(6万ウォン)など、冷麺以外のメニューも多い店。マンドゥ(餃子、7000ウォン)が特に美味しい。(02)2267-7784

 この店のスープは「甘い」と表現する人が多い。この甘めのスープにお酢を少々垂らすと華やかな味わいに変身する。玉流館のものよりも麺がシコシコしているのが特徴。そば粉に澱粉を7対3の割合で混ぜているという。「玉流館は8対2だと聞いている」と言うと、「そんな比率では麺にするのが難しいはずだけれど・・・」と不思議そうに話す。豚のばら肉を煮て、ぎゅっと押したチェユク(9000ウォン)を食べながら冷麺(6500ウォン)が出てくるのを待つのがお勧めだ。(02)777-2269

 この店の女性主人とピルトン麺屋の女性主人は姉妹。そのせいか冷麺の値段(6500ウォン)も同じく、味も似ている。しかし乙支(ウルチ)麺屋の冷麺の方が味が薄く、微妙な味わい深さがあるという評価を受けている。プルコギ(200グラム1万3000ウォン)やピョンユク(9000ウォン)を注文し、ソジュ(韓国の焼酎)を飲んでいる古い常連客が多い店。(02)2266-7052

 牛肉をたくさん使ったスープが香ばしく、コクと甘みがある。濃すぎて少々後味が悪いのが難。麺はソバの香りの強い玉流館のものと似ているが、よりしなやかで日本のそばのようにツルツルしている。冷麺といえば必ず入るゆで卵もなく、牛肉の薄切りと白菜のキムチ、キュウリの酢漬け、大根キムチだけが入る。スープと麺、どちら共味が濃く、調和が取れている。1皿8500ウォン。ほかの店より2000ウォン以上高い。プルコギでも有名だが、1人分(150グラム)に2万4000ウォンと、ソウルで最も高い水準。よい材料を使っているからとは思うが、簡単に足を向けることができないのが残念だ。(02)2265-0151

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