特有の味と香りが生きているワインを造るためには普通の食用ブドウよりはるかに糖度が高くなければならないが、このようなブドウの品種は韓国の土壌では栽培することが難しい。

 しかし韓国でよく栽培されるキャンベルアーリー、マスカットを利用し、かなり美味しいワインを生産する、常識を超えたワインメーカーが忠清(チュンチョン)北道・永同(ヨンドン)郡にある。営農法人「ワインコリア」だ。

 永同で生産されたブドウを使って作ったレッドワイン4種とホワイトワイン2種を「シャトー・マニ(Chateau Mani)」という商標で販売している。昨年の売り上げは23億ウォン。今年は55億ウォンを目標にした最大の国産ワイン会社だ。

 この会社の創業者であるユン・ビョンテ(47)代表理事。10年前までもワインを作るどころか、飲んだこともなかったという。ブドウ栽培農民でもない。永同で企業と子どもたちを相手に研修院を運営していた事業家だった。ほかと違っていたのはブドウの名産地「永同」で暮らしながら、ブドウの使い道についていつも考えていたということ。

 そんなユンさんが、ふとしたきっかけでワインというブドウの利用法に気がついた。試行錯誤を重ねたものの上手くいかず、結局フランス・ボルドーへ渡り、ワイン製造会社で日雇い労働者として働きながらワイン製造の知識を身につけたという。そしてついに純韓国産のワインを完成させ、1998年、初めて市場に流通させた。

 しかし反応は冷たかった。「韓国のブドウは韓国人の口に合った味でなければならないのに、外国のワインの真似ばかりをしていました。口当たりが悪く、香りも悪い。誰も飲まないのは当たり前でした」

次の年には甘さをなくしてみた。反応は少しずつ好転していった。今後の課題は香り。糖度が低いため、香りが薄くなってしまうという。糖度を上げる方法も研究中だ。

 「韓国で採れる果物を使い、韓国料理とよく合うワインを造るのが生き残る道だと思っています。韓国だけの独特な味わいを持ったワインをこれからも作っていきます」

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