「張東健(チャン・ドンゴン)と崔志宇(チェ・ジウ)って付き合ってたんですか」。

 トップスター、張東健と崔志宇の結婚説が浮上した今月8日、インターネット・ポータルサイトではこの件に関する問い合わせが殺到した。

 同日夜、某インターネット・ポータルサイトのQ&Aコーナー。「2人は付き合っているのか」という1件の質問が掲載されるや、アクセスはあっという間に6000ヒットを超えた。

 「歌手のJさんが人妻だというのは本当ですか」、「俳優のSさんが離婚し、近く他の女優と結婚するっていううわさですけど…」。

 ネット上には「うわさ」があふれている。うわさとは、その真相はさて置き、非公式的に流通する情報だ。熱愛説、離婚説、同居説、結婚説、暴行説など「うわさ」の数々が、今では「ホットな芸能ニュース」となって一人歩きしている。

▲新型エンジン搭載でパワーアップした「うわさ」

 口コミで流れ出たさまざまな「説」は、1日数千万の訪問者数を集めるブログやインターネットへの書き込み、またはメッセンジャーを媒介として、「1対多数」的に広まっていく。

 第一企画・ブランドマーケティング研究所のイ・ジュヒョン博士は「インターネットがなかった時代、デマはもっぱら知り合いを通じて広まったものだが、今ではインターネットを通じて知らない人同士の間でも広まっている」とし、「個人はPCを前にたった1人で文章を書くが、実際は広場の大衆に向け、大声で“叫んでいる”にほかならない」と話した。

 結婚説に張東健と崔志宇側が「公式否定」したのも、インターネットで「うわさ」が雪だるま式に膨らんでいると判断したためだ。

 チャン・ユンジョン側も、やはり「結婚説」を流した媒体に対し、訂正報道を要求している。ネガティブな情報であればあるほど、インターネットで取り上げられたが最後、あっという間に広まってしまうとの認識からだ。

▲側近こそ要注意

 なんとも皮肉なことに、芸能人のうわさの出所は主に側近だ。

 10年の経歴を誇る某女性芸能人マネージャーは「コーディネーターやメーキャップ・アーティストのように芸能人の電話通話を至近距離で聞いている人、あるいは美容院に勤める美容師のような人が、案外うわさの生産工場となっている」と話した。

 例えば、ある女性芸能人が美容院で悩み事を打ち明けると、これを聞いた人が芸能人との親しさを誇示するため、他の芸能人Cさんに「このごろ、AさんがBさんに会うのをためらっているようだ」とうわさし、これを聞いたCさんのマネージャーとコーディネーターらは「AさんとBさんの間に誰かが割り込んだ」とまき散らすようになるというのだ。

 また、あるマネージャーは「マネージャーこそ要注意」という。「自分の事務所所属でなければ、うわさを脹らませ、拡大させる」と指摘した。

 芸能人の行き付けレストランの従業員やお抱え運転手なども、「うわさ」の震源地とされている。

 場合によっては、うわさが「事実」として現われるケースもある。しかし、不正確な推測や特定の人物に対する攻撃的意志などで、「うわさ」の第1次生産過程そのものが極めて歪曲されやすいため、結局うわさはうわさの領域を超えられずに終えるケースが多い。

▲デマの法則

 『うわさの法則』(1947)の著者オルポート・ポストマンは「うわさの量」を「テーマの大切さ×あいまいさ」と規定した。芸能人のうわさにこれを代入すると、人気は高いが知られている内容が少ない人ほど、うわさは増える。

 うわさはインターネットと結合し、「もっともらしい」姿に変身する。書き込みされたり、レスされたりする過程で、デマ最大のウィークポイントとされる「説得力なき根拠」は、おのずと説得力を持ち合わせたり、再構成されたりする。

 例えば、張東健と崔志宇の結婚説については、「知り合いのお姉さんがウェディングドレスを合わせに行った時に見たんですって」、「うちの兄さんの先輩かなあ。とにかく知り合いのある人がホテルに勤めているんですが、2人が秘密裏にホテルの予約をして行ったんだそうです」などとレスをつけながら、うわさは自ら信憑性を増していく。

 匿名だからといって、無害というわけではない。芸能情報サイトなどにK.Sなどのイニシャルでうわさの記事が書き込まれれば、すぐ下のレスでは記事を書いた人の「実名当てクイズ」が行われる。

 ある有名芸能人のマネージャーは「クイズでいったんK嬢と指摘されようものなら、わたしたちの名前を露骨に上げてくるため、悔しくてたまらない」という。

 レスの段階でほとんどの「状況把握」が終わるため、うわさは容易に「真実」へと様変わりするのだ。そこでは、芸能人の人権やプライバシーなどは完全に無視される。

 金明恵(キム・ミョンヘ)東義(トンウィ)大学言論広告学部教授は「大衆の“イメージ”と“実際”は全く違うものだが、大衆の幻想から始まったうわさが芸能人の実生活にまで影響を与えながら、プライバシーの侵害や名誉毀損といった問題へと発展していく」と話す。

 時には怨恨の思いで、時にはせん望の眼差しで、大衆は芸能人を見つめている。それこそ、“ヤヌス”といえそうだ。

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