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【記者席】ジャッキー・チェンの「韓国愛」
誰でも自分がしてもいないことのために誤解を買い、口惜しい思いをした経験が1度か2度はあるはずだ。
そんな時に感じる悔しさともどかしさは言葉では表現できないもの。その上、その誤解が自分の好きな人との間で起きたことであれば、その苦しみは数倍にも膨れ上がる。
28日に会ったジャッキー・チェンの顔にはそんな苦しみともどかしさがにじみ出ていた。普段、明るく活発な人とは想像もできない程、深刻な表情をしたジャッキー・チェンは、記者と会った席でもしばらく警戒を解くことができない様子だった。
ジャッキー・チェンは記者との話の途中、「嘘(コージンマル)」という韓国語を繰り返し使い、自分の口惜しさを訴えた。
「悪意的な記者がカンヌ映画祭の途中、取材記者たちと交わしたキム・ヒソンさんに関する様々な話のうち、幾つかの単語だけを膨らませて再構成し、話を作り出したようだ」。
「キム・ヒソンさんはたくさんのNGにもかかわらず、ずっと誠実に撮影に臨んだ」という言葉は「キム・ヒソンさんはいつもNGばかりを出した」という言葉に変わり、ジャッキー・チェンが演技者としてキム・ヒソンのプロ精神をほめながら「私はキム・ヒソンさんを“女性として”好きではない。私は“俳優”のキム・ヒソンさんが好きだ(I don't like her, I like Kim Hee Seon)」という言葉は「私はキム・ヒソンさんが嫌いだ」という言葉になっていた。
実際、ジャッキー・チェンがこのような一部メディアの悪質な記事と関連し、悪口雑言を書き立てられたのはこれが初めてのことではない。
昨年発生した陳水扁・台湾総統の暗殺未遂事件と関連した発言などにより、台湾メディアの執拗な“ジャッキー・チェン叩き”攻勢を受けたこともあったが、超然とした態度を見せていたジャッキー・チェンだった。
同じ中華圏の台湾メディアと世論に対しては特別な反応を見せなかった“ワールドスター”のジャッキー・チェンが、人口5000万人にもならない韓国ファンのためにあえてインタビューまで買って出たのは、ジャッキー・チェンの特別な“韓国に対する愛情”のためだ。
ジャッキー・チェンにとって韓国は若き日の汗と涙、愛情が染み込んだ“第2の故郷”だ。無名時代、韓国で3年余スタントマンの生活をしたことがあった。初恋の人も韓国人で、今でも韓国語が上手い。
慶尚(キョンサン)南道・統営の名誉市民として、今年8月には自分の名前を取った島に博物館を建てるため、起工式も行う予定だ。
だからジャッキー・チェンは愛する韓国に訴える。「事が変にからまっているが、とにかく私は韓国を愛しています。私の本当の気持ちを分かってください」と。
こんなに切々とした訴えがあれば“愛”が壊れるはずはない。ジャッキー・チェンと韓国との“愛”が今後もずっと変わらないことを期待したい。