塾をさぼったと怒鳴りつける母親(ペ・ジョンオク)に12歳のハンビョル(ソ・デハン)がこう言い返す。

 「体がだるくて本当に辛い。起きられないよ」

 慌てて病院に行くと脳腫瘍と診断された。妻は夫(パク・ウォンサン)に「息子がこんなになるまで、あなたは何をしてたの」と泣き叫ぶ。それなのに九歳の弟ハン(パク・チビン)は不満顔だ。

 一人ぼっちになった弟は、あらゆる手を使って親の関心を引こうと懸命だ。兄のタオルに隠れて鼻をかんだり、母親の前では皮ジャンを着てピ(RAIN)が歌う真似をして甘える。

 『バイバイ、お兄ちゃん』は在り来たりの「感動作」で終わらないために多くの努力がなされている。「小児がん少年の闘病記」にならないよう、監督はわんぱくな弟ハンに焦点を合わせる。実際にテレビなどの子役の規格化された演技とは違い、スクリーンの中のパク・チビンは自分の役割を120%果たす。

 しかし、この映画で惜しまれるのは、逆説的に一人だけ目立つハンから始まる。最後のスポットライトは小児がんの兄、ハンビョルに合わせられなければならないが、観客の目はしきりにハンに向く。

 兄弟の割合と配分に対しては惜しまれる点が残るが、小児がん病棟の内外で展開される風景や演技は、この映画の中で最も印象的な場面だ。




 あれほど大人しかったハンビョルが「病気に堪えるのも大変なのに、話さなければだめなの?お母さんは分からないくせに」と抑えていた気持ちを話した時、白血病を患った息子を持つ同じ病室のウクの母親(オ・ジヘ)が跡を残さないようにとトイレの洗面台にいっぱいの水を溜めて顔を浸しながら涙した時、ハンがウクの田舍の家でヒメジョオンの花を「目玉焼きの花」と呼んで走り回る時、 観客は彼らと一緒に泣いて笑うことが出来るだろう。

 原作は息子の脳腫瘍の闘病を綴った小説家、キム・ヘジョンのエッセイ『悲しみが希望に』。映画『接続』を手がけた作家で実の妹のキム・ウンジョンが姉の悲しみと希望をシナリオ化した。27日公開。

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