ペ・ドゥナは指が白くて長かった。

 「手が大きいですね。働く人の手みたいです」

  「本当ですか?仕事をしない人の手みたいだと言われてますが。怠け者の手みたいとよく言われます。実際に器用じゃありませんし、私は自分で何かを作り出すようなスタイルじゃありません。クッキーも焼くのに一日かかります」

 べ・ドゥナに今月22日、ソウル市・新沙洞(シンサドン)にあるカルチャーセンターでインタビューした。最近ペ・ドゥナは友人とクッキーや料理、生け花などを学んで楽しんでいる。奉俊昊(ポン・ジュノ)監督の次回作『怪物』の撮影が延期になって時間が出来たという。5か月前の昨年のクリスマスにクッキーを初めて焼いたというペ・ドゥナは「趣味を楽しむ最近の生活がとても楽しい」と言う。

 「家でもクッキーを焼いています。どんなクッキーですって?ただのクッキーですよ。チョコチップクッキーも作りますし、作ったクッキーはプレゼントもします。反応は上々です。きれいに焼けているそうです。私は味よりも形にこだわりますから」


 クッキーのようにまったく同じような芸能人が多い韓国の芸能界で、ペ・ドゥナは「コピーされないキャラクター」という自身のホームページ(www.doona.net)タイトルのように、自分だけのスタイルを持った女優として自らを差別化している。そんなペ・ドゥナが料理やクッキー作りに熱中するとは何だかぎこちない感じがした。

 彼女はあまり気にしていなかった。「全然違うでしょう。テレビの画面に映る私の姿と私の普段の姿は。私は(人々に)『ペ・ドゥナはこんな人』と勝手に想像された方がいいです。私に対する誤解も面白いです。まったく気になりません」。

  「小さな賛辞に動揺せず、大きな非難にも動じない」がペ・ドゥナの座右の銘だ。

 ペ・ドゥナは「(母親が)編み物や縫い物、料理でもみんな上手です。お母さんは(料理で有名な)開城(ケソン)が田舎ですよ。ところが私には教えてくれません。女の人は無器用が一番。出来ることが多ければ疲れるだけと言います」

 ペ・ドゥナの母親は舞台女優のキム・ファヨン氏だ。しかし、キム・ファヨン氏が娘に料理を教えないのは、今後を心配してではないらしい。

 「母は演技も教えてくれません。演技というのは経験で感じるもので、付きっ切りで教えるものじゃないって言うんです。なので私は子どもの時から母が舞台で演技する姿を見ながら自然に見て学んだのです。料理も同じでしょう。母が上手なら娘も同じように上手くなるのでは?」

 いくら面白くてもクッキー作りは趣味に過ぎない。

 ペ・ドゥナが最初で最後に愛したものは演技だった。

 「料理番組の司会でもやってみたくないですか?」

 「それは絶対にないでしょう」

 「一生やりたいことは演技ですか?」

 するとペ・ドゥナは「当たり前です」と真剣な眼差しで言った。

 質問を考えてから聞いて欲しいという目をしていた。

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