映画
『バイバイ、お兄ちゃん』で母親役に挑んだ女優ペ・ジョンオク
「これほど心の痛む役をなぜやると言ってしまったのかと考えたこともあった」
金美淑(キム・ミスク)が自閉症の息子のために胸を熱くさせたなら、ペ・ジョンオクは小児がんの息子のために涙で夜を明かした。彼女の流した涙は、じめじめとせず乾いたものだった。そのため観客が母親の悲しみに感情移入する時間が非常に短い。しかし、本人は出演を後悔したこともあると告白した。
映画『バイバイ、お兄ちゃん』(イム・テヒョン監督、MKピクチャーズ制作)でペ・ジョンオクは、12歳と9歳の息子を持つ母親を演じた。平和な共稼ぎ生活を送っていたある日、12歳の長男が脳腫瘍の診断を受けて苦難の日々を送るようになる母親だ。
「全体的に心がとても痛んだ」と言うペ・ジョンオクは「病気の子どもを見守りながら私の現実を振り返るようになった。私の子どもが健康であることに感謝するようになった」と語った。
実際にも娘を持つ彼女の母親を演じる姿は非常に自然だ。ところが以前にペ・ジョンオクは『嫉妬は我が力』といった映画で妻子持ちの男と堂々と不倫を楽しむオールドミスの役を演じてきた。
「たぶん過去に今回みたいな母親役のオファーを受けていたら断っていたはず。どうしても母親よりも女としていたいから。でも、これからは敢えて母親役を拒むことはないと思う。母親役の時には母親に徹して、一人の女性を演じる時はその女性になり切ればと思う」
『バイバイ、お兄ちゃん』は子どもが主人公だ。スポットライトは子どもたちに当てられる。もし今回の映画で母親役でなかったら、どうなっていただろうか。目に見える役も重要だが目に見えない役も非常に重要だ。今回の映画に出演しながら「自分もこんな役を演じることが出来る」と実感したと言う。そして完成した映画を見ながら出演して良かったと思ったと言う。
ペ・ジョンオクは二人の子役を実の息子のように可愛がった。特に映画のほぼすべてのシーンに登場する主人公のパク・チビン(10)には、すっかり感心した様子だった。パク・チビンとペ・ジョンオクは互いを「お母さん」「息子」と呼び合う程だ。
8日にスタートしたMBCドラマ『震える胸』でも好演を見せているペ・ジョンオクは、「さまざまな役を演じることで私の演技の幅がさらに広がるようになる。やっと若い頃に出来なかった役を演じるようになったみたい」と明るく微笑んだ。