映画「鉄道員(ぽっぽや)」で有名な小説家の浅田次郎(54)さんがカジノ取材のためソウルに来た。浅田さんは現在、文化と見るカジノ、非日常と非常識の世界であるカジノに対する本を書いている。これまで欧州編と米国・アフリカ編は出版されており、欧州編は韓国でも出版されている。

 カジノは人間の欲望が渦巻く「賭博場」だが、経営方式を見ると、一国の文明とその社会の慣習、文化まで余すところ無く見せてくれると浅田次郎さんは話す。そうした点で「世界カジノ紀行」は世界の人間を読み解ろうという作家としての欲求でもある。

 浅田さんは東京の裕福な家庭に生まれ、名門私立中学に進学し、幸せな未来が約束された人生のように見えた。しかし家庭が没落し、そのショックで裏通りを徘徊する不良少年になる。

 高校卒業後、本格的なやくざの世界に足を踏み入れた。その後、陸上自衛隊員を経て、再びやくざの世界を転々とし、ブティック経営など多彩な職業を経験してもいる。韓国にも紹介された『プリズンホテル』にそうした雰囲気がよく生かされている。

 浅田次郎さんは意外な人物たちが織り成す人間ドラマの醜さと高貴さに深い味わいを盛り込んでいる。美しいだけでも醜いだけでもないのが人生だ。

 どこか的外れにも見えるが、底の深い真実性と生命力を持った男を描き出している。

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