なぜ自殺したのだろうか。

 イ・ウンジュさんの自殺をめぐり、疑惑が徐々に増幅している。

 現在、手がかりとして残されているのは3枚の遺書。

 遺書を見るとミステリーはカネと家族、露出など演技と関連したうつ病、最後の電話をした「お姉さん」とはいったい誰なのかの3つ。

 「おカネが全てじゃないけれど、おカネのために本当につらい世の中だよ」という遺書の文はイ・ウンジュがCM市場で高い人気を得ていた現況に照らし合わせると、納得できない難解なテーマ。

 化粧品ブランド『ENPRANI』のモデルとして年初から紙面をにぎわして来たイ・ウンジュさんは最近、メーカーのロッテ機工と3億5000万ウォンのCM契約を結ぶなど、CM市場でもスター性を認められていた。

 「仕事がとてもやりたかった。やらないのではなく、できなくなってしまったんだけれど」という部分も現在所属事務所で数本のシナリオを検討しており、彼女が現在映画界を代表する演技派女優として評価されていた点を考えても、理解に苦しむ点だ。

 また、「一年前に戻りたかった。毎日お祈りしていたけれど、無謀な願いだった。一年前なら元々の私のように生きることができたのに」という部分と関連し、一部では映画『朱紅文字』での露出シーンに言及する声が上がっているが、これもまた説得力に欠ける。

 既に映画『オー!スジョン』などで大胆な濡れ場を堂々とこなしてきており、所属事務所ナムエンターテイメントも「キャラクターについて悩んでいただけで、特別他の作品の時と違う兆候はなかった」と明かしている。

 さらに、1997年にデビュー後、『オー!スジョン』などアート映画で既に「期待株」と認められていたイ・ウンジュさんは2004年、「人生最高の年」を送った。

 人気ドラマ『火の鳥』で一躍旋風を巻き起こし、映画『朱紅文字』で昨秋の韓国映画界を華麗に飾った。8年間の女優生活を通じ、このように高い大衆的人気を謳歌したことはなかったため、イ・ウンジュさんの「死」という選択はファンの心に大きな痛みを残している。

 3つ目に「最後の通話、お姉さん、感謝してるし、申し訳ないし、つらかった。必ず今日でなければならないと話していた人。ありがとう」という部分でイ・ウンジュが最後の電話をした“お姉さん”とはいったい誰なのか、“ 必ず今日でなければならない”という言葉の意味が何なのかをめぐり、疑惑は深まるばかりだ。

 特にイ・ウンジュさんは並々ならぬ親孝行娘として知られ、普段から母親と試写会はもちろん、旅行にも一緒に行っている。親子というより友達同士のような関係だった。イ・ウンジュさんが事件当日の午前6時まで母親や実兄と話を交わしていながらも、解き放たれなかった胸の内には何があったのだろうか。

 映画デビュー作は『虹鱒』(1999年)。汚染された透明な水にだけ生息するマスは汚染された環境に接することになれば、自ら命を絶ってしまう繊細な性質が特徴だ。

 愛する家族とファンを背に亡くなったイ・ウンジュさんの選択の背景に何があったのか現在まで明らかになっていることは一つもない状態。真の女優として生きていこうとしていたイ・ウンジュさんに世間はあまりにも重たい荷物を背負わせたのではないだろうか。

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