俳優は数多くの人生を体験するというが…。5年間というの俳優生活で財閥の御曹司から高校生役まで演じたクォン・サンウは最近、何も誇れるものはないが一人の女性を想い続ける天才ミュージシャン、ソ・ジュニョンとして暮している。

 ソウルの気温が氷点下10度、体感気温は氷点下20度という10日午後。一山(イルサン)から梨泰院(イテウォン)に駆けつけたクォン・サンウにインタビューした。

 30代に近付いたからか、仕事や演技、愛や人生を見る目が徐々に変わっていく姿が感じられる。母親の話しをした際には、しばらく目頭を押さえる姿も見せた。

 スケジュールの都合で長く話を聞くことはできなかったが、スター俳優という職業を持ったクォン・サンウの人間的側面を見るには十分な時間だった。

―毎日寒い日が続いているが、ロケは大変じゃないか。

 「昨日、仁川(インチョン)の甕津(オンジン)にある『悲しい恋歌』のドラマセットで金喜善(キム・ ヒソン)さんと夜のシーンを撮影しました。新しく建てたドラマセットですが、ボイラーが故障したせいで寒くて仕方ありませんでした。野外でのシーンも多かったですし…」

―視聴率が期待ほど伸びていないようだが。

 「一生懸命やれば良くなると信じて演技に臨んでいます。序盤は人物設定のため不可欠な側面もありましたし…。回を重ねる毎に良くなっていくと言われる自信があります。実のところは視聴率のプレッシャーを大きく感じます。体は疲れていますが、少しでも良い姿を見せようと監督と相談して何度も撮り直しもしました」

―劇中のような悲しい恋愛をしたことがあるか。

 「愛について考えるようになる年だと思います。デビュー当時は正直に言うと他の悲しいことを思い出して涙を流すことも多かったですが、最近は時間がかかってもその状況に入る込むように努めています。映画『マルチュク通り残酷史』の時から変わったようです。あまりにも役に入りすぎると発音が良くないとも言われますが(笑)」

―ジュニョンというキャラクターは何も誇れるものがない男だが。

 「そんな役を演じてみたいと思っていました。金持ちの役よりは目の見えない女性のために手紙を録音するような純粋な愛みたいな…。最近のドラマには何もかもを手にした男ばかりが出ていて食傷気味でした。自分自身にもある面を持っている役ではなく、前だけを見て突っ走る青春を生きる人物だったので演じやすかったようです。本当に短かったですが、母親との愛情を描いたシーンも強く印象に残っています。母親のことを考えると…。(涙ぐみながら)愛情はあるのに面と向かっては表現できない…、誰もがそうじゃないですか?劇中のジュニョンのように母親が一人でいるので、母親のことを感じられて本当に良かったです」

―天才ミュージシャンの役を演じているが、ギターの演奏や歌に対するプレッシャーはなかったか?

 「テーマソングは直接演奏して一部は手の動きだけを真似ました。サウンドトラックへの参加も誘われましたが断りました。演技だけに専念しようと思ったからです」

―『天国の階段』の崔志宇(チェ・ジウ)に続いて今回も金喜善が演じるヒロインは目が見えないが。

 「私は愛する人の顔を見ることが出来るのに、相手は私の顔を見ることがきないと思うと本当に悲しくなります。崔志宇先輩は涙の演技が上手で本当に驚きました。喜善さんは活発なイメージがあって内心心配していましたが本当に熱心に演じています」

―ファンにどう評価されていると思うか。

 「俳優としてよりは今だけのスターのように思われているのではないでしょうか。自ら自信を持つためにも常に自分は俳優だと意識するようにしています。いつも同じ姿ばかりを見せるのではなく、『この役は絶対にクォン・サンウ以外はできない』と言われるようにしたいと思います」

―昨年末に日本を訪問したが。

 「『天国の階段』が11~12%の視聴率を記録していると聞いた時には実感が湧きませんでしたが、実際に現地に行ってみて自分のことを応援してくれるファンがこんなにもいるんだと思いました。それでも、やっぱり韓国のファンに応援してもらってこそ、認められるようになると思います」

―宋承憲(ソン・スンホン)とは連絡を取っているか。

 「この前も友だちと手紙を送りました。承憲がいないので、最近はソ・ジソプと仲良くしてます。3人はデビュー当時からの知り合いで本当に仲が良いです」

―偏平足や浮気者という噂があるが。

 「私に対する誤解がいくつかありますが、そのうちの一つが偏平足です。女性関係が複雑だという噂もそうですしね。仕事のない日には家にいる方なんです。それとバラエティー番組で場を盛り上げようとしてナンパの話をしたことが浮気者のように映ってしまったようです。ディスコなんか、もう3年も行ってないんですけどね…」

―俳優になって後悔したことはないか。

 「そんなことを言ったら贅沢じゃないでしょうか。家も車も買って…。満足しています。ただプライベートがないのは…。それでも満足しなくちゃいけませんよね」

―過去に人気がなくなったら俳優を辞めると言ったことがあると思うが。

 「はい、ありますね。演じること自体は楽しいのですが、今までに家族と一度も海外旅行に行ったことがないんです。母親と兄の三人で暮してきたので、子どもの頃から幸せな家庭を築きたいと思っていました。結婚もして子どもも育てたいです。赤ん坊が大好きなんですよ」

『スポーツ朝鮮/チョン・ギョンヒ記者 gumnuri@sportschosun.com 』

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