最近、日本の産経新聞にソウル特派員の女性記者が書いたコラムが掲載された。

 『ヨン様(ペ・ヨンジュン)はドラマの中の話し』というタイトルのコラムで「韓国男性と見合いに来る日本女性が多いが、韓国男性の実態を見た人間として『ヨン様はドラマです』と強調したい」と話している。

 特派員が強調する程に実際にも「韓国人男性と結婚したい」という日本女性が最近になって急増している。

 韓日結婚斡旋専門会社の「ラクエンコリア」(rakuenkorea.com)は日本人会員の加入者数が今年1月の46人から“ヨン様‘が日本を訪問した4月には373人に増え、6月以降には月に800~1000人に急増している。現在、結婚が予定されているカップルは日本人女性、韓国人男性のカップルが25組でその逆は3組で、その差は約8倍にもなる。

 「韓国人男性は男らしくてロマンチックなところが最大の理由」だと同社のチ・ハンジン代表は説明する。

 日本人が韓国人(男性)のイメージを「ロマンチスト」と見るようになったのは、まさにドラマチックな変化だ。つい2~3年前までは日本での韓国人に対するイメージは「儒教」や「デモ」そして、「男尊女卑」といったものだった。 

 韓国人に対する日本人の印象は否定的なものがほとんどだった。韓国で日本のことを考える時、かつての植民地時代を忘れられないように、日本の韓国に対する認識も植民支配の経験から完全に自由にはなれなかった。

 特に分断や韓国戦争、軍事政権、独裁、民主化闘争や暴力デモ、強行鎮圧など、韓国社会のこうした影の部分は、日本のメディアを通じて「怒りの表情」や「憤怒」が消すことのできない強烈な印象として残った。

 韓国人のイメージはまた、在日韓国人に対する日本人の歪曲された「朝鮮人」「パチンコ」といった否定的なイメージとも常に接していた。

 韓国に対する理解も極めて政治的で、日本の内閣府が毎年行っている「外国に対する親近度調査」で韓国人に対して親近感を感じるという比率は半数を超えることができず(平均40%)、政治的な状況によって大きく左右されてきた。

 しかし、50%を少し超え始めたのは、2000年に映画『シュリ』が日本で公開され、ヒットを記録して以降のことだ。

 韓国人に対する印象が肯定的に変わったのは映画『シュリ』と『秋の童話』、『冬のソナタ』といったドラマの人気、そしてワールドカップ大会期間中のレッドデビルの応援を通じて表れた韓国の若者たちのダイナミックなエネルギーがきっかけとなったというのが、日本現地の大体の分析だ。

 2002年韓日ワールドカップ大会が終わった後、日本の毎日新聞の北村正任・当時主筆(現社長)は「韓国人の生々しい顔の表情が日本人のお茶の間に伝達されたことに大きな意味がある」と語った。

 韓国関連ニュースといえば、デモや大規模な事故で泣きわめく場面だけを見てきた日本人にとっては、韓国人たちが明るく笑うことのできる人々だという事実そのものが珍しかったというのだ。

 「これまで日本人は韓国をいっそ、『存在しない国』として扱ってきました。しかし、このごろの韓流を通じて、やっと米国のような『普通の外国』扱いをするようになったのです。今後、もっともっと韓国に対する認識は良くなるはずです」。

 1983年、バレーボールのカン・マンス選手のファンとして韓国を好きになり、その後20年間、韓流伝播に力をつくして来た女優の黒田福美さんの言葉だ。

 2000年、『シュリ』の大ヒットで、韓国文化が日本で「それなりに楽しめる文化」として認識されたのも、結局、『冬のソナタ』ブームから韓流へとつながる橋頭堡を築いたのだと、大半の日本専門家は評価している。

 日本のシニアコミュニケーションというコンサルティング会社は最近、「“ヨン様ブーム”の背景には、情熱的で積極的な男性に対するあこがれがある」という分析を発表した。

 同社は、50歳以上の韓国と日本の夫婦を対象に意識調査を実施した結果、韓国の夫が日本の夫よりはるかに多く(韓国68%・日本36%)結婚記念日や誕生日などを祝っており、韓国男性がより率直に妻に愛の言葉を述べていると調査されたとした。

 この記事を報じた日本のメディアは「韓国人男性はやはり(!?)情熱的」という見出しをつけた。

 このような変化とともに、韓国と韓国人に対する「ポジティブなイメージ」は、日本社会にさらに広範囲にわたって広がっている。子どもを公立小学校に通わせている主婦のキム某(33)さんは、秋の運動会のマスゲームのバッグミュージックとして『冬のソナタ』のサウンドトラックが使われているのを聞いた。

 「李英愛(イ・ヨンエ)さんが話すと、韓国語も素敵なフランス語のように聞こえる(課長クラスの公務員)」、ひいては、「ペ・ヨンジュンさんの話す韓国語の響きは、何と素晴らしいことか」(アナウンサー)」とまで発展した。

 「廊下を歩いていたら、知らない人から韓国語であいさつをされた」、「ビジネスの訪問先で韓国ドラマが話題になり、なかなか帰してもらえなかった」などの話は、日本駐在の韓国人なら誰もが一度は経験する嬉しい体験だ。

 日本のテレビ局の某関係者は「職場に韓国人職員がいたが、韓国ドラマに関心を持ちはじめてから、あれこれ質問しているうちに親しくなった」とし、「多分、日本の会社に勤める韓国人の位相に、実にドラマチックな変化があったはず」と言った。

 このような変化の波が、過去60年間否定的に固着して来た韓日両国の相互理解に、新しい転機をもたらしている。

東京=崔洽(チェ・フプ)特派員 pot@chosun.com

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