スターインタビュー
映画『家族』でスクリーンデビューを飾ったスエ
映画『家族』でスエ(24)は安定した演技を見せた。だからと言ってこの作品が初の映画となる彼女の演技が驚くほどのレベルであるというわけではない。前科3犯のスリの演技が特別すばらしかったわけでもなく、父親との葛藤を演じた姿が大きな緊張感を与えたわけでもない。
しかし、映画『家族』の中のスエの姿は非常に自然体だ。奇抜なファッションをした挑発的な新世代のスターを見ているというよりは、昔の彼女を思い出させるような非常にほのぼのとした親近感がある。
「初めて映画を観たんですが泣くことができませんでした。一人でドラマを見るならまだしも、他人に感情を見られたくありませんでした」
ただ好きではなく「超好き」、ただ嫌いなのではなく「超嫌い」と何でもオーバーに感情表現をする近頃の20代に比べれば、スエは感情を表に出すのが苦手のようだ。
小学生の頃から丁允姫(チョン・ユニ)に似ていると言われ続けているルックス(プロダクションの社長は「スエを丁允姫のような女優に育てようと思ってスカウトした」と言う)であることを考えれば、スエは伝統的美人の21世紀バージョンのようなものだ。
しかし、やはりスエはスエだけの人生を生きてきたわけで、今後もそれは変わらない。梁東根(ヤン・ドングン)と同じプロダクションに所属するスエは、まるで“女版・梁東根”だ。口数が少なく、人見知りで、自分の演技についてあれこれと話すことを好まないスタイルだ。そしてストレートで淡泊なのがスエならではの魅力だ。
この映画に出演しながら「特に父親を困らすシーンに心が痛んだ」と言うスエ。どんなことで心を痛めたのか具体的に聞いてみた。「中学校の時に勉強をしなくて普通科の高校に落ちて、商業高校に行きました。門限を何度も破ってだいぶ叱られました」。ひどく叱られたことを何の感情もなく語るこのドライな姿には驚きだ。
こんな性格でどうやって芸能人になったのだろうか。「道端でスカウトされてモデルの仕事を始めました。所属事務所で勉強しながらドラマに出演するようになりました。『私でもできますか』ってマネージャーに聞いたら、『できる』と言われて始めたんです」
女性タレントのスクリーンデビューが通常はリスクが高いのに比べ、スエの今回のデビューはかなり成功した方だと言える。物静かな語り口が与える信頼感、美しい顔から吐き出される冷たい言い方が意外な魅力を感じさせる。
映画後半に今までドラマで見せてきた悲恋のヒロインというイメージをがらりと変える瞬間にも、それほど違和感を抱かせない。
結論的に丁允姫に似たこの女優は、丁允姫よりも多くの役柄を演じる姿を今後もスクリーンで披露してくれそうな予感がする。しかし、本人の言葉はこうだ。
「すばらしいシナリオと出会えれば出演しますが、まだ女優が天職という感じでもないようです」